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フリーランスになる前
Q1. フリーランスになる前は
どんな仕事をしていたの?
専門学校時代にアルバイトでお手伝いしていたグラフィックデザインの会社に、卒業後そのまま就職しました。会社での仕事はロゴマークからフライヤー、ポスターなどのグラフィックデザインやWebデザインなどです。
会社員時代は絵は趣味で描く生活でした。
Q2. どうしてフリーランスという
生き方に興味を持ったの?
元々は「フリーランス」や「個人事業主」という言葉すら知らなくて。独立したいと思ってフリーランスを選んだのではなく、シンプルに「絵を描いて生きていけたらいいな」と思って動いたのがスタートでした。
フリーランスになっていく過程
Q3. なぜ会社を辞めようと思ったの?
フリーランスという言葉も知らなかった学生のころから、「画家として食べていきたい」とは思っていたんです。でも絵を描いて生きていきたいけれど、絵を書くだけではお金にならないのが現実。それでデザインの道に進みました。絵は趣味で続ければいいかなって。
ただ実際は、デザイナーの仕事に集中するあまり、絵を描く余裕がなかったんです。
「本当にやりたいことがやれていない!」と気づいて、2年目の年に会社を辞めることを決意しました。
Q4. 会社を辞めたあとは、どうやって
稼いでいくつもりだったの?
無計画でした。「デザインは私のやりたいことじゃない」とはわかっていたのですが、疲れ切っていて。とりあえず辞めよう!と思っての退職でした。
それでも、ずっと働きづめだったので、1年間は働かなくても生きていけるくらいの貯金がありました。不安や失敗を考えるよりも、早く辞めたい気持ちのほうが強かったですね。
会社を辞めたあとも、デザインの仕事の依頼をいただいていて。フリーランスでデザインの仕事をしつつアルバイトもしながら、絵を描いていました。
Q5. どうして「エコアート」を
始めようと思ったの?
退職してからは、アルバイトや業務委託でデザインの仕事を受けながら画家活動をしていました。その生活を続けていくうちにふと、「なんで画家だけで食べていけないんだろう?」「誰が“いい絵”を決めているんだろう?」と疑問に思ったんです。
アート業界について調べていくうちに「生活、社会が豊かじゃないとアートに関心が向かないのでは?」という考えにたどり着きました。
まずは社会を豊かにするための活動を始めるために社会課題に目を向けました。
ネット上の情報ではなく、現地に行って自分の目で見ようと思い、最初に参加したのが環境問題のシンポジウムでした。沖縄ではサンゴが白骨化していて、除去しないと新しい生命が芽生えない。でも、サンゴの撤去には10億円ほどの莫大な費用がかかることを知ったのです。
そこで、なにか私にできることはないか考えました。サンゴと私の共通点――それが「画材」だったんです。
「サンゴを使った絵具で、アート作品をつくろう」
そこから、サンゴだけではなく廃材を砕いて絵具にして描き、廃材元のストーリーを伝えるエコアート活動を始めました。
エコアートアーティストになってみて
Q6. エコアートアーティストとして
活動するためになにをしたの?
廃材を絵の具にするために、画材の研究を始めました。
チューブの絵の具ってどうやって作られているんだろう?昔の人は自然にあるものから、どうやって絵の具を作ったんだろう?サンゴの色を保ったまま絵の具にするにはどうしたらいいんだろう?と、学ぶことは多かったです。
鉄で焙煎したら赤っぽくなるとか、ミョウバンで焙煎したらこういう色になるなど…ほとんど化学の分野ですね。
Q7. エコアートアーティストとして
どうやって仕事をつくったの?
エコアートを始めてすぐは、自分で素材を砕いて絵の具を作って形にすることすら難しくて…「悩みの作品」がたくさんできました。
その作品の展示会を開いたら、ありがたいことに買ってくださる方が現れて。それがエコアートアーティストとしてのはじまりです。
Q8. その後どうやって活動を
ひろげたの?
エコアートを始めると、フリーランスの画家としての仕事が舞い込んできました。
うちの会社の廃材を使ってアートを作ってほしい、エコアートで会社の理念を描いてほしいなどの依頼です。サステナブルやSDGsという言葉が広がっていくのと一緒に、エコアートも広がっていきました。
わくわくした未来を描ける、そんなアート分野は――エコとの相性がよかったのだと思います。
Q9. どうして仕事が
増えていったと思う?
「社会に目を向けること」が一番大切なんだと思います。
一般的には「自己表現」として絵を描いている画家さんが多いと思います。でも、私の場合は「社会をよくするためのツール」として絵を描いているので、誰かの目に止まりやすくなったんじゃないかなと。
私の絵のクオリティが評価されたというよりは、私の活動と将来性を見込んで応援してくださった方が多い印象です。
Q10. 他にはどんな活動を始めたの?
エコアートの一般社団法人を立ち上げました。というのも、エコアートを始めてからお仕事をたくさんいただくようになったんです。依頼もさまざまで「捨ててしまうバドミントンの羽で立体アートを作ってほしい」「会社の理念を『ドラゴン』を使って描いてほしい」などでした。
ただ、私は立体よりも平面のアートが得意だったり、私よりもドラゴンの絵が得意な方がいるはずなので、一般社団法人でそのお仕事を引き受けて、依頼に合わせてエコアートに共感してくれているアーティストにお願いできるようにしています。
また、廃材から絵の具を作る会社「ArtArium」も設立しました。私ひとりで絵の具を作っても減らせる廃材の量は少ない。だからもっと多くの人に使ってもらえるように、絵の具の会社を立ち上げました。
今とこれから
Q11. この生き方・働き方になってみて
よかったと思えることは?
人生が充実しましたね。ただ好きなように絵を描いていたときは、「これ何のために書いてるんだろう」「誰のために書いてるんだろう」「これ描いてどうするんだろう」など、悩みが多かったんです。
エコアート活動をやっている今は、ただ絵を描いているときより「誰かのためになっている」と思えるので、心の救いややりがいになっています。
Q12. 不安なこと、大変なことは?
エコアートに共感してくれて一緒に活動している作家さんたちに嫌な思いをさせてはいけないという責任感や、キャンピングカーでの旅をクラウドファンディングで支援してくれた方に恩返ししなきゃというプレッシャーが大きくなりました。
頑張る気持ちにはなるものの、もし成果が出なかったら?いい絵が描けなかったら?という不安がありますね。
Q13. 今後何をしていきたい?
どうなっていきたい?
私のように画家やアーティストの方が、絵の活動で食べていける世界を実現できるようになりたいです。
エコアートをしていると環境活動家だと思われることが多いのですが、根本的な想いは「アーティスト支援」なんです。私が画家だけでは食べられなくてつらかった経験があるので、アーティストが稼げない、そんな問題を解決したい。画家の新しい働き方のモデルが作れれば、救える人がもっと多いと思うんです。
だから一般社団法人や会社を大きくしていきたいし、もっと多くのアーティストを集めていきたいです。
目指す人へのメッセージ
会社員だったころは、お金はあるけれど「不自由」でした。でも私にとっては、「お金は安定しないけれど、好きなことをやっている」ほうが圧倒的に楽しいんです。
だから、自分が楽しいと思うものにもっと素直になるといいんじゃないかな。「自分の本当に好きなこと」を、ぜひ自分の胸に問いかけてみてください。
いかがだったでしょうか?
以上、Ayamiさんの生き方・働き方のストーリーでした!
あなたの人生が一歩でも前進するような、お役に立てる記事になりますように。