職業「自分」になりたくて。小さなころから独立に憧れたクリエイティブディレクターの人生

職業「自分」になりたくて。小さなころから独立に憧れたクリエイティブディレクターの人生

フリーランスのストーリー

今注目を集めている「フリーランス」という働き方。

自由で憧れるワークスタイルですが、その裏には計り知れないほどの多くの努力があります。

今回お話を聞いたのは、クリエイティブディレクター / プロップスタイリストのひらつさん。

小さなころから独立を考えていた彼女が会社に入った理由、クリエイティブディレクターとしてどのような仕事をしているのかなど、つねに独立を考えていた彼女の過去から現在までを語っていただきました。

クリエイティブディレクター

ひらつ

ひらつさん

多摩美術大学テキスタイルデザイン専攻を卒業後、株式会社CRAZYに新卒入社。空間アートディレクターとして5年勤務したのち、独立。クリエイティブディレクターとして空間やプロダクトの企画開発デザインを行う。「あなたがあなたの感性を信じ、愛し続けられるせかいをつくる」ために日々想いにふれ、どのように伝え広げるかをデザインし、形にしている。
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フリーランスになる前

フリーランス_クリエイティブディレクター2

Q1. フリーランスになる前は
どんな仕事をしていたの?

オリジナルウェディングをプロデュースしている株式会社CRAZYで、アートディレクターをしていました。名前を聞いてもなかなか仕事内容が浮かばないと思うのですが、映画制作における美術監督のような仕事です。

結婚する2人の想いやこれまでの人生のことを聞いて、どういうコンセプトにして、どういう一日にするのかを決めるのがプロデューサー。そのコンセプトを実現するために、具体的にどういう空間や演出をしたらいいかを考えて落とし込むのが、アートディレクターである私の仕事でした。

Q2. どうしてフリーランスに
興味を持ったの?

独立したい気持ちは学生のころからありました。

もともと千葉の田舎出身なんですが、地元の人たちは田舎ということもあってみんな自営業。自分の好きなことを仕事にしているのが当たり前の環境だったんですよね。

私の父親も、ものを作るのが好きで建築の会社をやっています。そんなまわりの人たちを見て、いつか私も自分の名前を出して何かを作るような仕事をするのかな、と漠然と考えていました。

フリーランスになるために

フリーランス_クリエイティブディレクター3

Q3. どうしてフリーランスに
なろうと決めたの?

1番の理由は、自分の名前で仕事がしたかったからです。たとえるなら職業「ひらつ」みたいな、自分にしかできない仕事。そのためにはどんな仕事がいいだろうと模索していくなかで、アートディレクターにたどり着きました。

最初から独立するつもりではあったのですが、大学卒業後に一度就職することにしました。社会や仕事のことについて知らないまま、自分で何かをやるのはイメージが湧かなくて。

大学でテキスタイルデザインの勉強をしていたので、その分野で就活しているときに株式会社CRAZYと出会いました。

Q4. フリーランスになるために
どんな努力をしたの?

副業がOKになった3年目から、デザインに関するいろいろなお仕事に挑戦していました。

「アートディレクター」の仕事は幅広く、名前だけ聞いても何ができるかわからないんですよね。だから、自分がアートディレクターとしてどんなことができて、どういう価値を生み出せるのかを明確にしたかったんです。

どの仕事が相手に1番喜んでもらえて、かつ自分が1番楽しいのかを意識しながら取り組んでいました。

Q5. 退職の決め手はなんだったの?

いろいろな仕事を試すなかで、インテリアコーディネーターの仕事がすごくしっくりきたのが大きな決め手でした。

当時は専門知識があるわけではなかったんですが、空間を使う人の想いを聞いたり、人の流れを想像したりして、それを空間に落とし込むのが結婚式のアートディレクターの仕事とすごく似ていて。

自分の経験や能力を活かすこともできたし、クライアントにもとても喜んでもらえたので、「あ、たぶんこれで独立できるな」と思いました。

Q6. そのタイミングで
不安はなかったの?

不安だらけでした(笑)。お金の管理もめちゃくちゃ苦手だし、フリーランスに対する下調べをほとんどしていなかったので、このスキルだけでどこまで通用するんだろうと思っていましたね。

あと、ウェディングのアートディレクターという仕事が自分の天職だと思えるくらい本当に大好きだったので「この仕事を辞めてまで独立して、自分は何をするんだろう」とすごく悩みました。

結局辞めるかどうか1年くらい悩んでいたと思います。

フリーランスになってみて

フリーランス_クリエイティブディレクター4

Q7. はじめは仕事をどうやって
獲得していたの?

1番最初の仕事は、会社のオフィスを作る仕事でした。その会社がどんなオフィスを求めていて、どういう人が来るのかなどをいろいろ聞いて、インテリアのコーディネートをしました。

この仕事を含め、はじめは友だちに仕事を紹介してもらうことが多かったですね。

じつは私、コロナウイルスが流行して自粛が始まった、ど真ん中の2020年4月に開業したんです。外に出て人脈を獲得することもまったくなかったので、最初はドキドキでした。

そんななかで声をかけてくれて、仕事を紹介してくれた友だちのみんなには、とても感謝しています。

Q8. どうやって仕事を
増やしていったの?

私の強みの1つに「自分ができる範囲を広げていける」ということがあるので、それを活かして、グラフィックに挑戦したり、イラストを描いたり、1つに絞らずいろいろな仕事を受けるようにしていました。

たとえコロナ禍でも、必要なデザインはたくさんあります。たとえば、自粛期間中に「おうち時間」に目を向ける人が増えたから、そっちに振り切ってみたりとか。そういうお仕事を2、3軸持ってやっていました。

安定していたわけではありませんが、 コンスタントにお仕事はできていたと思います。

Q9. フリーランスになってみて
良かったことは?

同じ熱量で1つの目的に向かっている仲間と、際限なく繋がれるのは本当にいいことだと思います。

あと、自分が知らなかった世界をたくさん知れることも。ずっと同じ仕事をしていたら出会えなかったであろう人たちに出会えて、いろいろなことを知れる。そのたびに人生が豊かになっていくような感じがします。

Q10. フリーランスになってから
大変だったことは?

すべての責任が自分に降りかかることです。

覚悟はしていましたが、ここまでとは思わずギャップを感じることも多かったです。どんなプロジェクトでも、何か起きたときは結局自分のミスが原因なので、誠実に、まっすぐに謝罪をします。

当たり前ですが、「誰も守ってくれない」ということを身をもって感じましたね。

フリーランスになった今

フリーランス_クリエイティブディレクター5

Q11. 現在の具体的な
仕事内容は?

最近はプロデュースをする仕事が多くなってきました。実際に自分の手を動かして何か作るというよりも、いろいろな人を巻き込んで代表して指揮するような仕事です。

最近だと、京都にある『泊まれる喫茶店』という民泊をプロデュースしました。若い人に来てもらうため、空間そのものにストーリーを作ってお客さんを集客する企画を提案しました。

民泊のプロデュースなんてしたことなかったので、まずは民泊が何なのか、調べるところから始まりました。「こういうものを作ってほしい」ではなく、「何を作ろうか」と考えるところから一緒に作れるのはとても楽しかったです。

Q12. 仕事がある1日の
スケジュールはどんな感じ?

お仕事柄、働く時間や場所はバラバラです。

早朝から打ち合わせで新幹線に乗って地方に行くこともあれば、深夜に現場に行って作業をすることもあります。現場に足を運ぶこともありますね。

土日はできる限りお休みにしているのですが、対企業ではない仕事はお休みに打ち合わせをすることが多いので、結局仕事をしているときもあります(笑)。

Q13. 今後は何をしていきたい?

今後は自分の名前で仕事をするだけでなく、一緒にやってくれるみんなとグルーヴ感を持って、楽しんで何かを作っていきたいと思っています。1つのチームで同じ船に乗って進んでいくような働き方がしたいです。

あと、昔から「その人らしさを最大化する」ことがやりたくて。関わってくれるすべての人が持つ「その人らしさ」や「情熱」を、いろいろな形で表現できるようにしたいです。そのために今、スタジオを作ろうと思っています。

私のまわりには、何かやろうと思ったときに形にしてくれる心強い仲間がたくさんいるけど、そうじゃない人たちもたくさんいて。そういう人たちが自分の好きなことや情熱を表現できたり、残せたりするような場所を設計中です。

目指す人へのメッセージ

メッセージの画像

ここにたどり着いた方はきっと、フリーランスになりたいと考えている方が多いと思います。何かを目指しているときって、漠然とやりたいことがあってもいろいろ不安があって、なかなか一歩が踏み出せないんですよね。

でもそういうときだからこそ、自分がどういう状態なら幸せなのか、どういう目標に向かっていけたら楽しいのか、自分のワクワクを大切にして、思い切って外に出てみることをオススメしたいです。

辛いことや覚悟がいることもたくさんあるけど、私はワクワクするほうを選んで外に出て、視野がすごく広がったし、たくさん素敵な人にも出会えました。

だからみなさんにも早く外に出てきていただいて、一緒に進んでいけたらなと思います。

いかがだったでしょうか?
以上、クリエイティブディレクター / プロップスタイリストのひらつさんの生き方・働き方のストーリーでした!
あなたの今日もtoiroな1日にしませんか?