天職の美容業で“うつ”に…人生のどん底にいたエステティシャンが見つけた、最高に幸せな働き方

天職の美容業で“うつ”に…人生のどん底にいたエステティシャンが見つけた、最高に幸せな働き方

フリーランスのストーリー

心の底から「大好き!」と胸を張って言える仕事、“天職”――。

今回お話を伺ったのは、そんな”天職”とも言えるエステティシャンとして働くきりさん。お客さまのことを想い、全力で寄り添い、自身と美容の力でお客様を笑顔にすることが彼女の幸せなのだそう。

そんなきりさんですが、実は大好きなサロンの仕事が原因でメンタルダウンした経験がありました。苦悩を乗り越え、自分らしい働き方を実現するまでのストーリーをお届けします。

長崎県の小さなプライベートサロン エステティシャン

きり

きりさん

長崎生まれ、長崎育ちのエステティシャン。「出会えたお客さまに全力で向き合い、愛を伝える」がモットー。高校卒業後、大手脱毛サロンへ入社。施術・カウンセリングのほか、役職業務や店舗立ち上げを経験する。退職後、トリプルワークの日々を経て、現在は母が経営するエステサロンで働いている。

自己紹介をお願いします!

長崎県の小さなプライベートサロン『Bellefleur(ベルフルール)』で働くエステティシャンの、きりです!脱毛の施術や、ニキビや毛穴トラブルなど、お悩みに合わせたお肌のお手入れを行なっています。

どんなサロンで働いているの?

Bellefleurは、お客さまと二人三脚できれいな素肌を目指すマンツーマンサロン。もっとも身近なサロンであるために、お客さま一人ひとりと全力で向き合っています。

お客さまの対応はほぼすべて私が担当し、母がオーナーを務めているお店です。

どんな働き方をしているの?

週6日営業で、ご予約の状況によって忙しさは日ごとにまちまち。大好きな地元で、大好きな仕事ができているのが嬉しくて、1日が終わると「あー!今日も幸せやった!」と思うほど仕事が楽しいんです。

今に至るまでの経歴は?

book きりさんの略歴
18歳 高校卒業後、大手脱毛サロンへ入社。技術やカウンセリングを行う
20歳 副店長に昇格。体調不良のため休職。その後、退職
22歳 アルバイトを掛け持ちしながら、『Bellefleur』で働く
23歳 エステティシャン1本で、資格取得に励みながらサロンワークを行う

では、きりさんの今に至るストーリーをたどってみましょう!

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大好きな美容業との出会いから、退職に至るまで

フリーランス_エステティシャン2

Q1. 新卒で入社した会社では
どんな仕事をしていたの?

高校を卒業後、全国展開している大手脱毛サロンに入社しました。脱毛サロンで働けば自分も脱毛ができると思い入社したので、「ずっとエステティシャンとして働いていきたい」という気持ちはなかったんです。

むしろ入社して間もないころは、毎日のように辞めたいと思っていたほどで。でも、少しずつやりがいを感じるようになったんです。

入社1年〜2年目の主な業務は、施術とご新規さまのカウンセリング。特に、お客さまのご契約を担当するカウンセリング業務では「あなたに担当してもらえてよかった」と感謝されることが多く、大きなやりがいを感じて。

「“ありがとう”と言ってもらえることが嬉しい!美容業は私の天職だ!」と思うようになったんです。

2年目で副店長に昇格し、店舗の売上・スタッフ管理、新人育成を担当。3年目には全国の店舗の中でトップカウンセラーを受賞し、店長昇格のお話をいただいたのですがお断りしました。

Q2. どうして昇格の話を断ったの?

当時、お店をより良くしていくために、キャリアアップして自分にできることを増やしたい気持ちはありました。なので、昇格のお話をもらったときはもちろん嬉しかったです。

ただ、自分の上司を見ていて、責任の重さや仕事量の多さからあまりいいイメージを持てなくて…。副店長だった当時が一番楽しかったこともあり、仕事を嫌いになりたくなかったんです。

でも、昇格を断った1番の理由は、体調不良が続いていたことでした。

Q3. どうして
体調不良になってしまったの?

美容業界のあるあるかもしれませんが、拘束時間が長く、体力的に負担が大きかったんです。10時から20時まで職場にいて、帰宅するのが22時半といった生活をしていましたが、当時は「まだ若いから大丈夫かな」と思っていました。

しかし、寝つきが悪くなり、朝まで眠れない日々が続くようになって…。きちんと眠れるようになりたいと思い、病院へ相談しに行ったところ、自律神経失調症と診断されたんです。

それから、急激に体調が悪化しました。もっと頑張りたい気持ちがある一方で、家から出たくない気分になったり、仕事前に吐き気がつらくなったりして…。気持ちに身体がついていかないことが悲しくて、ずっと泣いていましたね。

そして、心身ともに限界を越えてしまい、病院でうつ病と診断を受けました。その後、3ヶ月間休職をしたのち、そのまま退職しました。

Q4. 復帰せずに、
退職を選んだ理由は?

休職するにあたって引き継ぎの話が飛び交い、はじめは「私がいなくなったら仕事が回らなくなってしまう。早く体調を治して復帰しなくちゃ」と思っていました。

けれど心配とは裏腹に、自分がいなくても仕事が回っている事実に、寂しさを感じました。社内の情報に追いつけていないこともすごく苦痛で、悔しかったです。それでも「自分がいなくても大丈夫なら、私は次のステップに進もう」と考え、退職を決断。新しい環境でまたトップになろうと思いました。

ただ退職を決めてすぐは、まだ気持ちの浮き沈みが激しくて。「他の仕事でも頑張るぞ!」というやる気と「会社を辞めたらお先真っ暗だ」「自分なんて死んだ方がマシかもしれない」と思うくらい不安が交互にやってきていました。

アルバイトを掛け持ちしながら、母のサロンをお手伝い

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Q5. 退職してからは
どう過ごしていたの?

退職して間もなく、不動産会社に転職しました。美容業が天職だとは思っていたんですが、他の仕事にも挑戦してみたい気持ちもあって。「住宅のプロになる!」と張り切ったものの、社内の雰囲気についていけず、体調もまだ万全ではなかったので、1ヶ月で退職しました(笑)。

次に始めたのが、現在私が働いている母のエステサロン『Bellefleur』のお手伝い。お肌のお手入れやカウンセリングなど、改めてエステティシャンの仕事をする中で、「美容業が好き」という気持ちを再認識できたんです。

とはいえ、当時はまだお客さまが少なかったため、サロンワークだけでは生計が立てられず…。スナック、ヨガスタジオの受付、海の家、コールセンターなどの、いろいろなアルバイトを掛け持ちしながら働く日々でした。半年くらいは将来のプランをあまり考えずに過ごしていましたね。

でも、徐々にサロンワークに対する気持ちが強くなって。あるとき、アルバイトとの掛け持ち生活を抜け出し、サロンワークに専念していく覚悟を決めたんです。

Q6. サロンワーク1本で
やっていく覚悟を決めた理由は?

私自身を必要としてくださるお客さまがいたからです。

前職の大手脱毛サロンでは毎回担当者が変わっていたので、お客さまがお悩みを相談するハードルが高かったり、こちらも担当したお客さまの経過を見届けられなかったりと、サロンとお客さまの心の距離が遠いことにもどかしさを感じていました。

だからこそ、お客さまに全力で向き合い、Bellefleurをお客さまにとって一番身近なサロンにしていきたい。お客さまが単に施術を受けに来るのではなく、気軽に何でも相談できる場所にしたい、と強く思ったんです。

想いが強くなると、自然とサロンのことを考える時間も増え「どうやってBellefleurを広めていこう?」「良いサロンにするにはどうすればいいかな?」と、ずっと考えるようになっていました。

お客さまのためにとにかく行動

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Q7. どうやってお客さまを
増やしていったの?

まずは、Instagramでの発信に力を入れました。お客さまや友人との会話からヒントを拾い、お店のアカウントで毎日投稿。お肌に関する素朴な疑問、施術によるお肌のBefore・After、お客さまからのお声など「どんな情報を発信したらBellefleurに興味が湧き、行ってみたいと思っていただけるか」をつねに考えていました。

三日坊主なので、SNSを始めた当時は「毎日投稿」と頭の中でずっと唱えていて(笑)。サロンの休業日も投稿画像を作成したり、反応が良かった投稿の分析をしたり、毎日とにかく必死でした。

すぐに効果が出ないことは分かっていたので、めげずにコツコツと更新を続けました。半年ほど経つと、新規のお客さまが少しずつ増えてくるように。

とても嬉しい気持ちになったと同時に、自分がやってきたことは間違っていなかったんだと自信につながりました。今ではリピートして通ってくださるお客さまも多くいらっしゃいます。

Q8. リピーターのお客さまを
増やすコツは?

良い技術を提供するのは当たり前ですが、私が大切にしているのは「心の距離」です。「またBellefleurに行きたい」「早く会いたい」と思っていただける存在でいることを心がけています。

お客さまには「あなたのお悩みに全力に向き合うので、一緒に頑張りましょうね!」とお伝えしていて。お客さまだけに頑張らせず、二人三脚で歩むことを強く意識しています。

お客さまが私を頼ってくださることで、お客さまは理想の状態に近づけるし、私も幸せな気持ちになる。この循環が成り立っているのも、数あるサロンの中からBellefleurを選んで通ってくださるお客さまのおかげなんです。

今とこれから

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Q9. 会社から独立して
良かったと思うことは?

より一層、お客さまのお悩みに全力で寄り添えることです。そして、そのための努力を思う存分にできる環境に身を置けていることが嬉しいです。

会社勤めだと勤務時間や休日が決められていて、お客さまのために使える時間は限られていますよね。でも、今はスキルアップのためにみずから研修に受けに行ったり、ご来店時以外にもLINEでお客さまのお肌の様子を伺ったりと、お客さまにとことん向き合える働き方ができていて、とても幸せです。

Q10. 逆に大変だと思うことは?

時代の流れに合わせ、お客さまが求めるものをつねに提供できるように、自分をアップデートしつづけることです。あとは、SNSの更新も少しだけ大変(笑)。

でも、すべてはお客さまのためにやっていること。お客さまの力になることが私のやりたいことなので、苦に感じることはありません。大変なことがあっても、幸せのほうが勝っています!

Q11. 今後
どんなことをしていきたい?

これからもエステティシャンとして、お手入れを通じてお客さまに全力で寄り添い続けていきたいです。加えて、前職のころから人に教えることも好きなので、エステティシャンになりたい人に向けたスクール運営や、講師業にも挑戦したいと思っています。

目指す人へのメッセージ

メッセージの画像

会社を辞めて「この先、どうやって生きていこう」と不安ばかりの状態から、こうして毎日幸せに過ごせるようになるまで、いろいろ経験してみて思うのは、どんなことも自分の経験や糧になるということ。

無知であることが一番怖いと思っていて。新たな世界に踏み出すことを恐れていると、いつまで経っても次のステップには進めないと思うんです。

私がInstagram更新を毎日コツコツ続けて良かったと思っているように、「きっと、これも何かの経験になる」くらいの軽い気持ちで、いろんなことに挑戦してみてほしいです。もし選択に迷ったときはワクワクするほうを選ぶといいと思います!

いかがだったでしょうか?

以上、きりさんの生き方・働き方のストーリーでした!
あなたの人生が一歩でも前に進むような、お役に立てる記事になりますように。

ちょっと木陰で立ち話

えりな
本記事ライター
えりな

「大好きなお仕事ができて幸せ」と嬉しそうに話す姿が印象的だったきりさん。「Q. 会社から独立して 良かったと思うことは?」で語られている、お客さまへの情熱の強さに圧倒されてしまい…。記事を書き終えたころには、すっかり彼女のファンになっていました(笑)。

会社員時代からつねに一生懸命だったきりさんですが、彼女が努力できるのは、目的がスキル習得ではないから。「お客さまのお悩みに全力で寄り添える自分でいること」をゴールに置き、そこにたどり着くためにコツコツとできることを積み重ねてきました。

つい「どんなスキルを身につけたいか」と考えてしまいがちですが、まずは「どんな自分でありたいか」を考えてみるといいかもしれません。

ちなみに、きみはどう思う?なにか気づいたことあった?

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    えりな
    本記事ライター
    えりな
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    pigeon