「想いに沿って、できることに最大限取り組む」ドレスショップオーナーが語るキャリアの描き方

「想いに沿って、できることに最大限取り組む」ドレスショップオーナーが語るキャリアの描き方

フリーランスのストーリー

この記事に辿りついてくれた読者の方には「自分にモヤモヤする…」と悩む人もいらっしゃるでしょう。

そんな方へお伝えしたいしたいヒント、「今の自分に何ができるかを考えること」を教えてくれたのは、ドレスショップオーナーのきしのさん。

「自分にできることを考える」とはよく耳にすることかもしれません。しかし、具体的なプロセスに触れることは少ないはず。

今回はきしのさんに、ドレスショップを始めることになった理由やその道のりを語ってもらいました。

ドレスショップーオーナー

きしの

きしのさん

大学卒業後、アパレル企業に入社。店舗経営・教育などを経験したのち、入社6年目に体調不良のため退職。休養後、ジュエリー販売やドレスショップでのアルバイトなどを経て、2020年にドレスショップ「OPTIONS」をスタート。従来の結婚式には魅力を感じていなかったカップルにも、カジュアルな結婚式やフォトウェディングといった選択肢(OPTIONS)を増やしてほしいという想いで、ウェディングドレスをセレクト・提案している。

自己紹介をお願いします!

「OPTIONS」というドレスショップのオーナーをしているきしのです。自分でセレクトしたウエディングドレスの貸し出しを行なっています。

現在のお仕事を具体的に教えて!

オーナーといっても「OPTIONS」は、私1人で運営しているショップです。土日は青山にある知人のオフィスを間借りしてお客さまの試着対応をし、平日はドレスのメンテナンスや配送の手配をしています。その他曜日に関係なく、ショップの公式LINEでの接客や、次に仕入れるドレスのリサーチなどを行います。

ウエディングドレスは、映画やドラマに出てくるお姫様のようなゴージャスなものではなく、より手が届きやすい価格帯や、普段の自分の延長で着ていただけるカジュアルテイストのものを扱っています。

「青山のドレスショップオーナー」というとキラキラした仕事と思われがちですが、すべての業務を1人で行うので、全然キラキラしていないです(笑)。こぢんまりと自分にできる範囲で運営しています。

今に至るまでの経歴は?

book きしのさんの略歴
22歳 新卒でアパレル企業に入社し、店舗勤務
23歳 店長に昇格し、2店舗で勤務
24歳 部署異動し、社員会議企画・若手経営者育成プロジェクト・映像制作の業務を担当
26歳 うつ病のため休職。休職期間中に婚約
27歳 復職するも、休養不足で2ヶ月で退職
28歳 ジュエリー販売、ドレスショップでの接客のアルバイトを始める
29歳 自分がオーナーとして、ドレスショップを立ち上げる

では、きしのさんの今に至るストーリーをたどってみましょう!

新卒から会社を退職するまで

フリーランス_ドレスショップオーナー2

Q1. 新卒で入社した会社では
どんな仕事をしていたの?

新卒でアパレル企業に入社し、はじめは店舗のスタッフとして勤務をしていました。2年目からはステップアップし、店長として店舗運営も経験しました。

3年目で部署異動してからは、社内向けの企画・プロジェクトの担当がメインの業務に。その中で経営者や責任者の方々と接する機会が増え、目標実現のための道筋を考えたり、世の中の動きに合わせて方法をアップデートするやり方などを学んだりしながら、自分にできることに最大限取り組んでいました。

仕事はとても楽しくてモチベーションも高かったのですが、入社6年目でうつ病と診断されました。

Q2. どうしてうつ病に
なってしまったの?

上手にリフレッシュできていなかったことも原因だと思うのですが、会社から求められる目標と、そこに追いつけない現実とのギャップにしんどさを感じていたんです。

そして、ある日突然、仕事に集中できなくなってしまいました。ミーティングに参加しても頭が働かず的外れなことを口走ってしまったり、夜は眠れず朝も起きられなくなり毎日タクシーで通勤したりするようになってしまったんです。

しばらくして病院に行ってみたところ、うつ病と診断されて休職することに。職場の方々への申し訳なさはありましたが、悔しさや悲しさは湧いてきませんでした。当時はそれほど疲れ切っていて…。休職中はとにかく無気力で、薬の作用で頭がボーッとしていたこともあり、ほとんど寝て過ごしていましたね。

それから、約10ヶ月の休職を経て、復職しました。でも、治ったというより、焦る気持ちが先に来てしまって。お休みが不十分だったからか、朝起きて出勤するのも、隣に人がいるところで毎日8時間働くことにも限界を感じてしまい…。復職から2ヶ月で退職することになりました。

十分な休養を経て、ドレスショップでのアルバイトをスタート

フリーランス_ドレスショップオーナー3

Q3. 会社をやめてからは
どう過ごしていたの?

退職後もしばらく体調が悪くて休んでいましたが、徐々に良くなってきたころにInstagramで日記をつけ始めたんです。当時は、ずっと家にいて社会との接点がなかったので、知らない人から投稿に「いいね」をしてもらえることが嬉しかったですね。

またパートナーとの結婚式に向けて、情報収集にもInstagramを使っていました。カジュアルテイストのウエディングドレスに出会ったのもこのころです。

Instagramを見ていると、自分の活動の発信をして、集客をするフリーランスを目にするようにもなりました。それまでフリーランスの方と出会う機会がなかったので「フリーランスって本当にいるんだ」と驚きはしましたが、当時は自分の働き方の選択肢には入れていませんでした。

そして、だんだん体調がよくなってきたタイミングで、ドレスショップで接客のアルバイトを始めました。

Q4. どうしてドレスショップで
アルバイトを始めたの?

働きたい気持ちはありましたが、週5日かつフルタイムで働く体力はなくて。体力的にもスキル的にも、今できることから始めようと思いました。

ドレスショップで働くことにしたのは、結婚式の準備期間に出会った花嫁友達が紹介してくれたお店が、アパレル販売の経験がある人を募集していたため。就職前も接客のアルバイトをしていたので、私にとっては始めるハードルも低かったんです。

でも、始めたのもつかの間、コロナウイルスの感染拡大によってアルバイトがなくなってしまったんです。

Q5. アルバイトがなくなったとき、
どうしようと考えたの?

「自分でドレスショップを始めるしかない!」と思ったんです。当時の私にできることといえば、接客や前職での店舗経営の経験くらい。それでも「自分にできることをやっていくしかない」と。

アルバイトがなくなる前は、自分でお店を始めることなんて考えもしなかったんですが、当時は焦っていて、他のアルバイトを探すことが思い浮かばなかったんですよね。

また、アルバイト先のドレスショップは、専門式場やホテルで行われるような華美な結婚式用のドレスを扱っていました。でも、自分の結婚式準備をしていたころから、私はカジュアルなテイストに惹かれていて。

Instagramを見て「カジュアルなドレスもあるんだ」と感化された自身の体験から、「カジュアルなドレスを求めている人もいるんじゃないか?」「過去の私と同じような人々の役に立てるんじゃないか?」と思ったんです。

私にとってドレスショップを始めることは、新たな挑戦というより、それまでの経験を掛け合わせてできることに取り組む感覚でした。

Q6. 独立することに
不安はなかったの?

当時はもちろん、今でも不安に思うことはあります。でも、体力的に会社員には戻れない私には、この働き方が合っているんじゃないかと思ったんです。

また、起業経験のあるパートナーやアルバイト先のオーナーさん、そして幼いころから抱いていた「いつか自分のお店を持ちたい」という夢が背中を押してくれました。

「カジュアルテイストのドレスショップを好むお客さまはいる」「いつかやりたいと思っていることを始めるなら今だ!」という想いを胸に、まずは小さな規模から始めてみることにし、ドレスショップ「OPTIONS」を立ち上げました。

独立し、ドレスショップオーナーへ

フリーランス_ドレスショップオーナー4

Q7. どうやって
ドレスショップを始めたの?

まずは3着〜4着のドレスを買ってそれを貸し出しするところからスタートしました。

お店のInstagramアカウントを作り、知り合いのヘアメイクさんやカメラマンさんに協力してもらって、着用イメージの写真を用意しました。その投稿をきっかけにお客さまに知ってもらうことができました。

Q8. お客さまを増やすために
大切にしていたことは?

毎日のSNS更新も大切ですが、ドレスショップを始めたときの想いや「OPTIONS」の存在意義はつねに忘れないようにしています。

「OPTIONS」は好みのウエディングドレスが見つからない方や、華美な結婚式を挙げるのは気乗りしない方に、「こんなドレスを探していた!」「こんなドレスがあるなら結婚式を挙げてもいいかも」と、選択肢を与えられる存在でありたいと思っています。

なので、「なんでこのお店が必要なんだっけ?」という問いをつねに自分に投げかけています。そして、その軸がぶれないように、開店当時から1着1着のドレス選びは毎回慎重に行なっています。

今とこれから

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Q9. フリーランスになってみてどう?

自分のペースで働けるようになったのはとてもよかったです。私にとって、会社員としてまわりと同じ仕事量やペースで働くことはしんどい。でも、考えたいことを徹底的に考えるのは好きなので、プライベートと仕事の時間を明確に区切らない働き方は自分に合っているかな。

自分の力を最大限発揮できるペースで働いて、お客さまに喜んでもらったり、人の役に立てたりするのは嬉しいですね。

あとは、よくも悪くもすべて自分で決めるようになりました。ドレスのラインナップや見せ方にいたるまで、決裁権は自分にあるのでやりがいを感じます。

その一方で、目標や計画もすべて自分で考えないといけません。会社員時代は決められたゴールに向かって頑張ればよかったのですが、今はゴール自体を自分で決める必要があります。これはいまだに難しくて、日々試行錯誤しています。

Q10. 今後どんなことをしていきたい?

具体的な将来像は考えていないのですが、自分が持っているスキル・感性を活かして、人の役に立ち続けていきたいです。

「OPTIONS」には、結婚式やウエディングドレスの選択肢を増やしたいだけでなく、自分自身の経験から“人生の選択肢”を考えるきっかけをつくりたいという想いを込めています。なので、今やっているドレスショップの事業も続けながら、「OPTIONS」として何か新しいことにも挑戦していきたいですね。

目指す人へのメッセージ

メッセージの画像

私もよくモヤモヤするタイプですが(笑)、モヤモヤするのって「現状をもっとよくできないか?」と考えている証拠だと思うんです。

でも、何も行動せずにずっとモヤモヤしていると何も変化はなく時間だけが過ぎてしまいます。ならば、スモールステップでいいので何かにチャレンジしてみたり、コンフォートゾーンから少しはみ出してみたりする。

たとえうまくいかなくても、「自分には合わなかったな」と気づくだけで立派な収穫です。うまくできたこと、人に喜んでもらえたことなど、小さな発見を重ねていくことは自信に繋がりますし、モヤモヤした現状を打開するきっかけになるはずです。

いかがだったでしょうか?

以上、きしのさんの生き方・働き方のストーリーでした!
あなたの人生が一歩でも前に進むような、お役に立てる記事になりますように。

ちょっと木陰で立ち話

えりな
本記事ライター
えりな

現状に満足できずモヤモヤしていると、つい「やりたいことを見つけなきゃ」「できることを増やさなくちゃ」と焦ることもありますよね。実は、私もその1人です。

今回、きしのさんへのインタビューで特に印象に残ったのは「Q. アルバイトがなくなったとき、どうしようと考えたの?」にあったように、「すでに自分ができること」に目を向けること。

新たにスキルを身につけるのももちろんですが、一度立ち止まって、きしのさんのように今の自分に焦点を当ててみると、自分らしい働き方のヒントが見つかるかもしれません。

ちなみに、きみはどう思う?なにか気づいたことあった?

ここに感想や気づいたことを書いてみよう

    YOU
    えりな
    本記事ライター
    えりな
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    書いてくれたんだね!さっすがー!!
    pigeon