「“コミュニティ”を仕事に」3社を経ても天職に出会えなかった会社員が築いた唯一無二のポジション

「“コミュニティ”を仕事に」3社を経ても天職に出会えなかった会社員が築いた唯一無二のポジション

フリーランスのストーリー

「フリーランスのなりかた」と検索しても、新卒でフリーランスになった人や、会社員時代を経てフリーランスになった人など、その道のりは人それぞれです。

今回インタビューした長田 涼さんは、超大手有名企業から小さなベンチャー企業まで、さまざまな会社での会社員経験を経てフリーランスという道を選択しました。

彼がフリーランスになったのは、いくつもの会社で共通して体感した「ある違和感」がきっかけ。今ではコミュニティフリーランスとしていくつもの会社と連携して仕事をする彼のフリーランスへの道のりをのぞいてみましょう。

コミュニティフリーランス

長田 涼

長田 涼さん

スポーツ大学を卒業後、ユニクロ→スポーツイベント会社→IT企業を経て、2018年にコミュニティフリーランスとして独立。「Wasei Salon」「グリーンズジョブ」などのコミュニティマネージャーを務めるほか、「コミュニティのカレッジ」のコーディネーターや「zinzien」「mentally」「サンカクシャ」のコミュニティアドバイザーも務める。
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フリーランスになる前

フリーランス_コミュニティフリーランス2

Q1. フリーランスになる前は
どんな仕事をしていたの?

新卒でユニクロに就職し、現場で店舗運営や経営を学びました。

もともとスポーツが大好きで、スポーツに関わる仕事がしたいと思っていたので、ユニクロで行っているスポーツ選手のスポーツウェアを開発・販売する事業に携わりたいと考えていたんです。

しかし、どうもそこに到達するには最短でも7年前後は必要なことが判明。僕は先のゴールを見据えて逆算して頑張るよりは、目の前にあることに集中して積み重ねていくタイプなので、7年後の目標に向けてモチベーションを保つのは難しいと感じました。

そこで、すぐにでもスポーツに関わる仕事をするため、スポーツイベント会社に転職を決意。新卒入社して約半年、まわりを見てもトップスピードでの転職でしたね(笑)。

転職先の会社は、プロスポーツを中心としたイベント制作をしている会社で、主にサッカー日本代表戦の進行ディレクション業務に約2年半携わりました。スポーツの現場をたくさん踏み、夢に見ていたような経験ができました。

その後、知り合いの小さなIT企業の社長に誘われて転職。主に採用サービスのコンサルティングに携わりました。ユニークな取り組みも積極的に行っており、会社が経営している海の家での現場ディレクターや、国内競技人口わずか数千人の「フレスコボール」の協会事務局長として、普及活動を行うなどさまざまな経験をしました。

Q2. どうしてコミュニティを
仕事にしようと思ったの?

仕事に対しての違和感がはじまりでした。

これまで、職種も企業規模も仕事内容も異なるいくつかの会社で仕事をしてきましたが、どの会社でも鳥かごのなかに閉じ込められているような、窮屈な感覚を覚えたんです。

すごくしんどくて、仕事ってつまらないなと思うようになりました。

一方で、つまらないと思っている自分もダサいと思っていて。そんなときに思い出したのが「コミュニティ」でした。

新卒1年目のときに、スポーツに熱い想いを持った同世代が集まるコミュニティの立ち上げと運営を経験しました。

あくまでプライベートのもので稼ぐ目的ではなく、純粋にみんなが楽しめる場を作ろうと始めたんですが、1年超で200人ものメンバーが集まってくれたんです。

人が集まる場を作る価値を実感すると同時に、まったく苦ではなく、楽しく取り組めるうえ、自分自身への評価が上がっていくのも感じました。

そんな成功体験を思い出し、「コミュニティを仕事にしたい!」と思うようになりました。

フリーランスになるために

フリーランス_コミュニティフリーランス3

Q3. なんでフリーランスとして
独立しようと思ったの?

今でこそ「コミュニティマネージャー」という職種はよく耳にしますが、僕が独立した当時はまだ仕事が確立されていなかったため、求人情報もほとんどなく、コミュニティをどう仕事にしていけばいいのかわからない状態。

そのため、会社員として転職するのではなく、独立してコミュニティの仕事を切り開いていくしかないと思いました。

いずれは起業することも視野に入れていましたが、まずはフリーランスの道を選びました。

Q4. フリーランスになるために
着手したことは?

会社員時代にコミュニティを仕事にしたいと決めたはいいものの、コミュニティの立ち上げや運営の経験が乏しかったので、まずは情報のインプットとアウトプットを強化することから始めました。

コミュニティに関する本を読み漁ったり、イベントに週3回ペースで参加して、概要を7,000〜10,000字にまとめたものを小まめに発信していました。

結果として5つほどのコミュニティに参加して、今の時代のコミュニティの現状や運営方法を学びました。

そのタイミングで、Wasei Salonの立ち上げに携わることになり、はじめて「コミュニティマネージャー」の肩書きで仕事をすることになったことが、独立に至る大きな一歩となりました。

Q5. 退職の決め手はなんだったの?

これまでは仕事柄、キラキラした生活を送っているように見られることが多く、ネガティブな感情を周囲に伝えたことはほとんどありませんでした。

それを、Wasei Salonのメンバーには打ち明けられると思ったんです。

サロンメンバーに向けて、長文で想いを綴ってみたところ、みんな親身になってコメントをくれたり、食事に誘ってくれたりしました。

そして、その仲間たちが「長田ならコミュニティを仕事にしていけるよ」と背中を押してくれたことが、退職の後押しとなりました。

Q6. そのタイミングで
不安はなかったの?

当時は1ヶ月生き延びられるかどうかわからない程度の貯金しかなかったので、のんびりしている余裕はないけれど、それ以上に仕事に対する違和感を無視できずに退職を決めたという状況でした。

それでもどうにかなるだろうと思い、Twitterで反応をくれた人や、コミュニティの仕事に興味を持ってくれた人に対して営業活動をしましたが、一向に仕事に繋がらず、独立して2週間ほどはめちゃくちゃ不安な期間を過ごしましたね。

フリーランスになってみて

フリーランス_コミュニティフリーランス4

Q7. はじめは仕事をどうやって
獲得していたの?

不安でたまらなくて、1日1回は「死ぬかもしれない」と恐怖を覚えてしまう状況に耐えられなくなり、Twitterで「このままだと本当に生きていけないので、週3くらいで一緒に仕事してくれる人いませんか」とツイートしたんです。

それに対し、コミュニティに関するサービスを提供しているベンチャー企業の社長からお声がけいただき、そこでユーザーコミュニティのコミュニティマネージャーとして働くことでなんとか食いつないでいくことができました。

そのころには、会社員時代からコツコツ行っていたコミュニティに関するTwitterでのアウトプットが功を奏して、コミュニティの業界や分野に興味関心がある人にはある程度見てもらえるアカウントになっていました。

それが信頼の材料となって仕事に繋がったのかなと思っています。

Q8. そこからどうやって仕事が
増えていったの?

新しい仕事に就いてからもアウトプットを継続して行っていたことで、自然と仕事が増え、気が付けばつねに5、6社と仕事をするようになっていました。

基本的に知り合いを通じての紹介か、SNSでのアプローチかの2パターンでお声がけいただくことが多いですね。

Q9. フリーランスになってみて
よかったことは?

自分の仕事を自分で選択できることです。会社員のときは、自分がやりたくない仕事でもこなしていましたが、フリーランスになった今、そういうしがらみは一切なくなりました。

また、一緒に仕事をする人を選べるのもフリーランスの特権だと思います。価値観が合う人と仕事をすることで、働くこと自体が楽しくなりました。

また、フリーランスになってからは自分の人生を生きていると実感できるようになりました。

これまでは、仕事が最優先でプライベートは二の次。でも、今は優先度が逆転し、自分がどうありたいか、何をしたいかを前提に働き方を決めるようになりました。

Q10. フリーランスになってから
大変だったこと、大変なことは?

キャリアの面では漠然とした不安があると感じますね。会社員は大きなプロジェクトを任せられる、昇格するなど、次のステップがわかりやすく用意されています。

でも、フリーランスは会社員のようにわかりやすく評価されることがないので、自分の今の活動がどう積み重なって、どこに繋がっていくのかが明確ではなく、不安になることがあります。

特に「コミュニティマネージャー」という仕事はモデルケースが少なく、明確なキャリアのステップもないので、余計に不安を感じやすいのかもしれません。

今は自分でステップを設定して、とにかく足を止めずに進み続けるようにしています。

「移住してみよう」、「新しいことにチャレンジしよう」とポジティブに楽しめる人は、フリーランスに向いていると思いますね。

フリーランスになった今

フリーランス_コミュニティフリーランス5

Q11. 現在の具体的な
仕事内容は?

大きく2つあります。

1つめがコミュニティマネージャーとしての仕事です。私たちの“はたらく“を問い続ける対話型コミュニティ「Wasei Salon」とトランディションコミュニティ「グリーンズジョブ」、2つのコミュニティ運営に携わっています。

2つめは、コミュニティのノウハウをアドバイスするコミュニティアドバイザーとしての仕事です。開かれた人事の拠り所「zinzien」やメンタルヘルスケアサービスを行う「mentally」、若者の支援を行う「サンカクシャ」などに携わっています。

そのほかに、「コミュニティのカレッジ」という “コミュニティで生きる人の対話の場“をコンセプトとした学びの場のコーディネーターもしていて、コミュニティの本質と向き合える場を提供しています。

Q12. 仕事がある1日の
スケジュールはどんな感じ?

book 1日のスケジュール
6:30 起床。子どもの世話、朝の身支度。
9:00 仕事
17:00 育児・家事
20:00 オンラインイベント開催
21:30 自由な時間
23:00 就寝

平日の夜はオンラインイベントが入ることが多いです。

会社員時代のリズムを変えず、土日祝日はオフにしていて、空いた時間でチャットに返信する程度で、がっつり仕事はしないようにしています。

Q13. 今後フリーランスとして
何をしていきたい?

今、僕は周囲の人から「オンラインコミュニティの人」として認知されていますが、オンラインコミュニティだけだとどうしても限界があると思っています。

人のつながりや居場所を作り、幸福を実現していくためには、オンラインが発達する前の地域のコミュニティやリアルの場が持つ価値が大きいと思うので、今後はそちらの分野に注力していきたいと思っています。

先日、広島県福山市鞆の浦という地域に移住してきたので、今後は鞆の浦にお店や人が集まる場所を構え、地域に場を持つとコミュニティはどのように生まれ、変化していくのか、自分のオンラインコミュニティのノウハウはどう活きるのかを模索していきたいです。

他に試してみたいことがたくさんあるので、チャンスを見つけてどんどんチャレンジしていこうと思います。

目指す人へのメッセージ

メッセージの画像

僕は、会社員時代に、すごくモヤモヤした気持ちに向き合い、もがきつづけた結果、今があると思っています。

自分が実現したいライフスタイルや生き方は必ず実現できると思うので、「自分はこんなもんかな」と投げ出さずに模索することが大切だと思います。

ひとりで苦しむのではなく、ぜひ信頼できる仲間に相談しながら、自分の人生をデザインしていってください!

いかがだったでしょうか?
以上、コミュニティフリーランスの長田 涼さんの生き方・働き方のストーリーでした!
あなたの今日もtoiroな1日にしませんか?