ブランドと人を“両想い”に。想いの代弁者「ブランド・ストラテジスト」の仕事

ブランドと人を“両想い”に。想いの代弁者「ブランド・ストラテジスト」の仕事

フリーランスの仕事

大量消費の時代を経て、誰もがこだわりを持って商品を選ぶようになった今。

そんななか、人やもの、空間などを、ほかとは区別されるブランドとして押し上げていくための戦略を考えるのが「ブランド・ストラテジスト」という仕事です。

今回登場するのは、これまでに「紅茶」や「日本酒」など、さまざまなもののブランディングを手掛けてきたいっぽさん。

「ブランド・ストラテジスト」という仕事を中心に、彼女がブランディングを仕事にするためにやってきたことや、参考にしている書籍まで、詳しくお話を伺いました!

ブランド・ストラテジスト

いっぽ

いっぽさん

大企業の総合職。ブランディングを民主化したいブランド・ストラテジストとして1年間会社を休職。2022年4月に会社復帰し、副業でブランディングサポートを行っている。当事者には気付きにくい「固有性(=らしさ)」に光をあて、ブランド価値を最大化する仕事に夢中。その他、女性のためのキャリアスクール「SHElikes」ブランディングコースのティーチングアシスタント、「ライフログスクール」初代アシスタントと幅広く活動中。
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お仕事詳細

フリーランス_ブランドストラテジスト2

Q1. 「ブランド・ストラテジスト」
ってどんな仕事?

一言で言うと「ブランドの戦略家」です。ブランドを押し上げて行くために何が必要なのかを戦略的に考える職業ですね。

ブランドが元来持っている“らしさ”や資源をうまく活用しながら、ブランドにとっての“両想いになりたい相手”に想いが伝わるように施策を考えていきます。

Q2. そもそも「ブランディング」
ってなに?

今の日本には、本当にたくさんのものが溢れていますよね。

たとえば、「にんじん」ひとつとっても、「なんでもいいや」と安いものを選ぶ人もいれば、特定の産地や農家にこだわって買う人もいます。産地や農家で区別がつくものは、もうすでに「ブランド」と呼ぶことができるものです。

ほかのものと見分けがつかないことを「コモディティ」と言いますが、ブランディングとは、特定の人やものが、世の中に溢れる、ほかの似通ったものと一線を画す存在になる、「脱コモディティ」を目指して、戦略的に人々の頭の中を書き換えていくことです。

Q3. ブランド・ストラテジストとして
どんなことをやってきたの?

あくまで一例ですが、東急ハンズで売られているウイスキー紅茶「THE CASK AGING」のブランド戦略を立案しました。国産の茶葉をウイスキー樽で発酵した、樽の香りを纏うリッチな紅茶です。

お客さまが、どんな課題を解決するために紅茶を手に取っているのかを可視化したうえで、ブランドを成長させられるようなターゲットの人物像を明らかにし、その人たちに届けていくためのブランディングを行いました。施策のひとつとしてパッケージの提案などもしましたね。

ほかには、静岡の浜名湖のほとりで育ったお米でできた日本酒「濱錦(はまにしき)」をたくさんの人に知っていただくため、クラウドファンディングを行なったこともあります。

企業から依頼されるお仕事もあれば、個人の方から依頼いただくお仕事もあります。新しく事業を始める方の思考整理や、想いの言語化、企画提案など、幅広く請け負っています。

Q4. ブランド・ストラテジストの
面白みややりがいとは?

自分自身が気付いていない魅力に気付いた瞬間、人ってすごく素敵な表情をするんですよね。

「今言われて初めて気付きました!」という瞬間のお手伝いをできたときはすごく嬉しいですね。想いの代弁者になれた実感を得られることが、ブランディングをするなかで一番楽しくて、やりがいを感じることです。

Q5. 実際の報酬はどのくらい?

まだ模索中ではあるんですが、最初は時給換算で1時間2,000円程度の見積もりを出していました。

今はだんだんお仕事の成果も出てきたので、大体の工数を算出したうえで、1時間大体7,000円〜10,000円ほどで依頼を受けています。

今後は成果物に対して見積もりを出せるよう、メニュー表のようなものを作りたいですね。ブランディングプロセスを細分化してメニューにすることで、お客さま自身がプロセスを選んでカスタマイズできるようにしていきたいです。

その仕事ができるようになるまで

フリーランス_ブランドストラテジスト3

Q6. なぜブランド・ストラテジスト
になろうと思ったの?

ブランディングが好きであると同時に、得意であることが一番の理由ですね。

以前、自分の人生の棚卸しをして、徹底的に自己内省をしたときに「私って昔も今もやりたいことは変わらないんだ!」と気付いたんです。

人やものの可能性を広げたり、当たり前のように思われているようなことを言語化して再認識したり、目の前の誰かが一歩を踏み出すお手伝いをしたりすることが、昔から好きなんです。

それを仕事にしたら最高なんじゃないかと思って、ブランド・ストラテジストになりました。だから、どんなに大変でも楽しく続けられています。自分の良さを発揮できる職業だと感じますね。

Q7. どうやってブランド
ストラテジストになったの?

はじめはキャリアスクール「SHElikes」のブランディングコースに出会い、そこから本を片手に独学で勉強し、2年後に「NewsPicks」が主催する「NewsPicks NewSchool」で「ブランド・ストラテジープロジェクト」を3ヶ月間みっちり受けたことで、やっと体系的な知見が手に入ったと感じました。

ブランディングを仕事にするためには、ある程度根気や時間が必要だと思います。

私の場合も、休職中の1年間でブランディングをイチから学んで仕事に繋がったわけではなく、長い期間をかけて準備をしてきました。

Q8. ブランド・ストラテジストの仕事
をどうやって獲得しているの?

ありがたいことに、一度も営業をかけることなく、これまですべて紹介でお仕事をいただいています。

ブランド・ストラテジストになる前から、自分の構想や夢をひたすらまわりの人にシェアしていたんですよね。価値観や、好きなこと、得意なことをとにかく発信しまくっていました。

そこで興味を持ってくれた人が次の話を聞きにくることや、ブランディングの相談をしたいと声をかけてくれることが何度もあって、そこからお仕事に繋がっていきました。

SNSでの発信も精力的に行っていましたね。今、自身も受講生として参加していた「ライフログスクール 」の運営をお手伝いしているのですが、受講生時代に、「ライフログが大好きになりました! 最高です!」とTwitterで呟いたり、noteで講座の感想を発信していたら、主宰のオア明菜さんの目に留まって、アシスタントのお仕事をいただけることになったんです。

「人に読んでもらう文章」と思うと身構えてしまいますが、自分のためのただのメモとして気軽に続けていくといいと思います。SNSを続けていてめちゃくちゃよかったです!

その仕事を目指す人へ

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Q9. ブランド・ストラテジストを
目指すなら、何をしたらいい?

私は、いきなりお金稼ぎに繋げるのではなく、アウトプットとインプットを繰り返していく方法を推奨しています。「SHElikes」のブランディングコースは初心者でもわかりやすくて、ブランディング全体の流れを把握できるのではじめのインプットとしてすごくオススメです!

受講が難しい場合は、入門書として『ニューヨークのアートディレクターがいま、日本のビジネスリーダーに伝えたいこと』を読んでみてください。ブランディングにおいて大事な考え方から詳しいプロセスまで書かれていて、「SHElikes」のブランディングコースで言われていることとほとんど同様の内容になっています。

さらに興味を持ったら、次のステップとしてブランディングのどこが面白かったのか、「ブランディングってこういうもの」というのを自分の言葉で説明してみるといいと思います。

人に説明するって意外と難しいので、アウトプットすることを前提にインプットすることで、応用の効く知識が身に付きます。

それがある程度できてくると、クライアントに出会ったときに、ブランディングの定義を説明できたり、ブランディングを通してどのような角度から事業のサポートができるのかを提案できたりするようになっていくと思います。

クライアントに出会うまでに時間がかかる場合は、まず、自分でひとつのブランドを立ち上げてしまう方法もあります。私の場合は「1ppo-Lab.」という、私の経験をシェアするコミュニティ兼ウェビナーのようなものを立ち上げて、ブランディングのフレームワークに当てはめてブランド化していきました。

クライアントワークを引き受けるのに、ブランディングの定義が曖昧なまま専門用語を使ってはいけないし、今は「セルフブランディング」という表層的な考え方が流行っていることもあるので、ブランディングを仕事にする前に、まずはしっかりとインプットをしたほうがいいと思いますね。

Q10. ブランド・ストラテジストに
必要なスキルは?

自分でブランドを立ち上げるにしても、他の誰かのブランドをお手伝いするにしても、ブランドを届ける相手のことや、作り手の想いに目を向けることがすごく大切です。

単に売上の数字を追う戦略ではなくて、どうしたらクライアントの「やりたい」を形にできるんだろうとか、どうしたらブランドを受け取る相手がハッピーになれるんだろうとか、相手を思いやれる力が必要になります。

心がこもっていないブランディングほど、残念なものはないなあと思っています。

作り手の想いはもちろん、愛や夢をひたむきに、無邪気に相手に届けていくこと。そんな、大人になるとなんだか小っ恥ずかしくなるような姿勢が、ブランディングには大切だと思いながら日々仕事をしています。

Q11. どんな本、
どんなサイトがオススメ?

まず、私が「ブランディングを仕事にできるかもしれない」と思うきっかけになった本が、くまモンのブランディングもを手がけた水野学さんの『「売る」から、「売れる」へ。 水野学のブランディングデザイン講義』です。

「ブランディングってすごく大事なのに、その舵取りをするクリエイティブディレクターやクリエイティブコンサルタントの席って、まだまだ埋まっていないんですよ」というような言葉を見て、私も本気で頑張ったらブランディングを仕事にできるかもしれない、と思うようになりました。

実務的なオススメは、戦略思考を身に付けられる『イシューからはじめよ──知的生産の「シンプルな本質」』と『ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム』などがオススメです。

また、ブランディングにはマーケティング論の活用も必要になってきます。ブランドをどう届けていくか、狙うのはその市場でいいのか、という左脳寄りの話は、USJをV字回復させた森岡毅さんの『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門』を読むとわかりやすいと思います。

今紹介した本は、仕事の際につねにそばに置いています。

あとは、「SHElikes」のブランディングコース講師をされているあべなるみさんのTwitterを覗くと、ブランディングにどんな考え方でどんなふうに取り組まれているのかが垣間見えてすごく参考になりますよ。

そして、私のほうでもブランディングをみんなで学べるようなコミュニティを企画進行中です。Twitterで最新情報を発信しているので、まずはフォローしていただけたら嬉しいです!

メッセージ

メッセージの画像

このインタビューを通して、ブランディングに興味を少しでも持った方は、ぜひそのワクワクした気持ちを忘れないでほしいです。やりたいと思ったその瞬間から、物語はスタートしています!

私も憧れのブランド・ストラテジストに本当になれるのかすごく不安があったのですが、自分のなかで明確なゴールは持っておいて、一歩ずつ積み重ねていき、ブランディングを仕事にすることができました。

まずは本を読んでみるとか、Twitterでブランディングを仕事にしている人と繋がって話を聞いてみるとか、ファーストアクションはいくらでも取れると思います。私自身、そういう方からご連絡をいただいたら応援したいなと思います。

一緒にブランディングを楽しんでいきましょう!

いかがだったでしょうか?
今回は、いっぽさんに「ブランド・ストラテジスト」というお仕事について聞いてみました!
あなたの今日もtoiroな1日にしませんか?