大切なのは“共感力”。ユーザーに寄り添い想いやるUXデザイナーの仕事

大切なのは“共感力”。ユーザーに寄り添い想いやるUXデザイナーの仕事

フリーランスのお仕事

モノがあふれる現代において、商品やサービスの差別化を図るためにはユーザーの「体験」の向上が重要になっています。

今回はそんな「ユーザー体験」をデザインする、UXデザイナー・のりこさんに話を聞きました。カスタマーサポートとしてユーザーの生の声を聞き、体験の設計が必要だと感じたのりこさん。それをどのように仕事にしていったのでしょうか?

UXデザイナー

のりこ

のりこさん

カナダ在住のUXデザイナー。Webディレクター兼UXデザイナーとして事業会社、制作会社、広告代理店での勤務を経て、カナダへの渡航をきっかけにフリーランスへ。最近のお仕事はWebデザインスクールDeLifeのメンターや、toiro magazineのUXデザインを担当。『人が関わるすべてのことに最高の体験を。』がモットー。

自己紹介をお願いします!

UXデザイナー、プロダクトマネージャーをしているのりこです。現在はカナダに住んでいます。日本では7〜8年間、WebディレクターやUXデザイナーをしていました。よろしくお願いします!

現在のお仕事を具体的に教えて!

カナダの事業会社で、UXデザイナー兼プロダクトマネージャーとしてNFT関連のWebサービスのリニューアルを担当しています。

UXデザイナーとしてどんな人がこのサービスを使ってくれるのかを想定し、その人たちに話を聞いて、サービスのターゲット層を定義し、サービスに落とし込んでいます。

お仕事詳細

フリーランス_UXデザイナー2

Q1. そもそもUXデザインってなに?

UX(ユーザーエクスペリエンス)とは「ユーザー体験」のことです。そのユーザー体験を設計するのがUXデザイナーです。

たとえば、ECサイトで買い物をするとき、服を1着買うつもりが「これもかわいい!」「これはさっき買ったスカートに合わせるといいかも」と、どんどん魅力的な商品が表示され、買い物をする時間がとても楽しくなると思います。

「服を買いたい」と思ってECサイトを開く瞬間から、サイト上で購入し商品が到着するまでのすべての体験であるUX。それをデザインするのがUXデザイナーの仕事です。

Q2. UXデザイナーって
具体的にどんな仕事?

サービスやサイトを実際に使っている人やターゲット層の声を聞き、ユーザーが本当に求めているものや真の課題を探ります。そのうえで、ワイヤーフレーム(サービスの設計図)に起こし、実際の機能に落とし込んでいくのがUXデザイナーの仕事だと思っています。

所属するチームや会社によって任される業務内容は大きく異なり、なかにはUXデザインに加えてグラフィック分野や、コーディングまでを担う人もいますね。

Q3. いままでは
どんな仕事をしてきたの?

既存のサービスや、新規で立ち上げるサービスについて「どんな人に届けたいか」の定義をすることをメインに仕事をしてきました。具体的には企業の「こんなサービスを作りたい」というオーダーに対して、そのサービスを利用するであろう人の声を聞き “本当の課題”を明らかにしていきます。

たとえば「オタク向けのコミュニケーションWebサービスを作りたい」というオーダーを頂いたことがありました。オタクと一言で言っても、漫画が好きな人やコスプレを趣味にする人、同じ漫画ファン同士でコミュニケーションをとりたい人など、種類はさまざまです。今回作るサービスが、オタクの中でもどこをターゲットにするべきかまったくわからず、漫画やアニメが好きな人たちにとにかくたくさんインタビューをしましたね。

このように、UXデザイナーはユーザーの声を聞いてサービスの課題やターゲットを探っていく仕事です。

実は、私はこのtoiro magazineのUXデザインも手がけています。制作時はオンラインデザインスクールメンターの経験や、発起人であるたくにぃからの具体的な要望もあり、ある程度ターゲットの予想がついていました。

まだ形もないサービスについてインタビューをするために、仮で作成した記事を読んでもらって、記事の内容や長さが適切かを聞いていきました。

まだ世に出ていないサービスを生み出すためには、まず仮でそのサービスを体験してもらうことで、適切なターゲットを定めて必要とされているものを探ることができるんです。

Q4. フリーランスとしての働き方は?

UXデザイナーはチームの人とたくさんコミュニケーションをとる必要があるので、単発でいきなり参加してもできることがあまりないんですよね。そのため、月額で契約するか、お給料をもらって社員としてチームに参加するか――いずれにせよ中長期的にチームに携わる形式になるかと思います。

そのため、今まで単発での受注はほとんどありません。一度クラウドワークスで単発のお仕事をいただいたときは2週間くらいチームに参加してリサーチを行い、提案資料を2、3ページほど作成しました。そのときの時給は3,000円未満でした。

サービスとユーザーの接点の設計を担うUIデザイナーも兼任するのであれば、体験を設計するUXデザインをしたうえで、UIを含めたデザインの仕事を単発で受けられると思います。

Q5. UXデザイナーの
面白みややりがいとは?

1番の面白みは、サービスのユーザーやこれからユーザーになりそうな方と直接お話ができることですね。

また、Googleアナリティクスなどを見ながら「この機能はこれくらいの人が見てくれるようになった」「Webサイトの滞在時間が増えた」など、数値としての成果の確認もします。

リアルでユーザーに話を聞くのも好きですし、サービスを楽しんでくれるお客さんがどのくらい増えたかを数字で見るのも好きですね。

Q6. UXデザイナーの
大変なことは?

日々のコミュニケーション量がとにかく多いことです。そのため、高いコミュニケーション能力が求められる仕事だと感じます。

UIデザイナーやエンジニア、マネージャーと常にコミュニケーションをとって、1日中話したりチャットをしたり…。仕事が終わったら充電が切れて「もう人と話したくない、1人になりたい!」となってしまうこともあります。

どれだけコミュニケーション能力が高い人だとしても、膨大な量のやりとりで疲れてしまうと思います。

その仕事ができるようになるまで

フリーランス_UXデザイナー3

Q7. なぜUXデザイナーに
なろうと思ったの?

日本でWeb関連の仕事を始めたのが2010年。Webディレクターのほかに、カスタマーサポート業務やコーディングも行なっていました。そのころはUXデザインという概念があまりなく、上司から指示された機能を理由もわからないまま追加していくこともよくありました。

でも私はカスタマーサポートとして、お客さんから直に困っていることを聞いていたので「誰のためのものかわからない機能」を付けることに納得できなくてモヤモヤしていました。

そんな日々が続くなか、次第にユーザーニーズに合わせた機能をプレゼンし、上司を説得するようになりました。そのときに「もっとユーザーから話が聞ければ、最善の方法でのアプローチができるのに」と思うようになったんです。

同時期にWebデザインや開発の勉強会やイベントに週3、4回ほど参加していました。そのなかでUXデザインに関するイベントに出会ったのも大きなきっかけでした。

そのイベントでUXデザインの話を聞いて、UXデザイナーは漠然とした課題に対してではなく、ユーザーが困っていることに対して解決策や必要なサービスを明確に提案する仕事だと知って。「これが私が求めていた職業だ!」と、UXデザイナーになることを決心しました。

Q8. どうやって
UXデザイナーになったの?

イベントや本で身につけたUXの知識を無理矢理、仕事に取り入れていきました。

当時数社しかなかったUXデザイナーを抱えている会社の方と仲良くさせていただいて、社内のUXデザインイベントに参加させてもらったり、ワークショップに参加するようになりました。UXに関する書籍もたくさん読みましたね。

得た知識を使ってユーザーインタビューをしたり、アンケートでサービスの使い勝手を調査することで、UXデザイナーとしての経験を積んでいきました。2022年の現在はカナダでUXデザインの学校に通っています。

いつか海外で働きたいと思っていたこともあり、以前来たことのあるカナダにUXデザインを教えている学校があったので、1年間通うことにしました。前半は座学やワークショップ、今は後半のインターンシップ期間で、自分で働かせてくれる会社を見つけてきて働いています。学校での学びは一通り実践したことのある内容ばかりだったので、英語で復習ができてよかったです。

2017年に入社した会社でUXデザイナーの肩書きをもらったのが、正式のUXデザイナーと名乗れるようになったタイミングです。そのときはめちゃくちゃ嬉しかったですね。

Q9. どうやって仕事を
獲得するの?コツはある?

仕事を確実に掴むためには、日々の努力を怠らないことが大切だと思います。業務外の時間でも、UXデザイン関連の記事や本を読むようにしています。

また、Webディレクター時代にいろいろなイベントに顔を出したことで、UXデザインに携わる人との繋がりが増えて「一緒に働こう!」と誘ってくれる人もいます。SNSでも人との繋がりができていて、帰国したら真っ先に就職させていただきたいと思っている会社の方とはTwitterのDMで繋がりました。

興味を持った人には積極的にDMや会いに行くようにしています。最近も、Twitterでずっと興味があったUXデザイナーの方に「お話したいです」と言ったら快諾してもらい、どのようにUXデザインを学んできたのか、資料のまとめ方などを教えていただきました。

ただ「教えてください!」と言うだけではなく「自分もUXデザインをしていて、こういうところを参考にさせていただきたいのですが」と具体的に質問内容を書くと、返事をいただけることが多いです。自分が何も与えられなさそうな人に対しては申し訳なさそうにアタックしますけどね。

その仕事を目指す人へ

フリーランス_UXデザイナー4

Q10. どうやったらUXデザイナーに
なれるか教えて!

私が今からUXデザイナーを目指すのであれば、本やYouTube、オンラインスクールをフル活用してインプット、アウトプットを繰り返していきますね。

もし普段から使っているサービスがあれば、その会社のUXデザイナーになりきった気持ちで改善案などの提案書とセットでその会社へ応募するのもひとつの方法です。たとえば、まわりに同じWebサービスを使っている人がいたらユーザーインタビューをし、それをもとに改善の理由も伝えます。

Q11. UXデザイナーをやるなら必須、
と思うスキルやポイントは?

ずばり「共感力」です。ユーザーになりきることができないと、何を聞いてもユーザーに刺さるプロダクトは作れないと思います。

共感力を磨くために、文学や小説を読むのもおすすめです。私は小学校のときの国語のテストの「主人公の気持ちを答えなさい」のような問題がすごく得意で。それがユーザーに寄りそう姿勢に活きている気がします。

実はUXデザインって、Web以外の職業の経験も活きる仕事だと思っていて。たとえば前職が看護師だったら医療系のシステムについて自分が働いていて不便に感じていたこと、居酒屋の店員だったら店内の導線が悪くて働きづらい経験があると思います。そのときのいちユーザーとしての経験を活かし、常にユーザー目線を持ち続けることでよりよいUXデザインを追求していけると思います。

Q12. どんな本、どんなサイトがおすすめ?

おすすめしたい書籍はたくさんあります。私はデザインリサーチやユーザーインタビューが好きなので、『デザインリサーチの教科書』はおすすめですね。UXデザイナーだったら全員読んでいるであろうベタな本ですが、『誰のためのデザイン?』も必読です。

悲劇的なデザイン』はUXデザインの重要性を教えてくれる本です。デザインはただきれいであればいいわけではありません。たとえば医療現場で使われているサービスで、デザインが適切にされていないことによって患者さんが亡くなってしまうこともあります。そんな例を交えながら解説しているので、「デザインって見栄えがよければいいんでしょ」と思っている人が読むと衝撃を受けると思います。

Webサイトは、ニールセンノーマングループのサイトがおすすめです。UXデザインに長けているヤコブ・ニールセンさんとドナルド・ノーマンさんが合同で設立したコンサルティング会社のWebサイトで英語のみですが、UXデザインについて網羅されているし、高価ですがオンラインスクールもあるので、とても勉強になると思います。

日本語のサイトだとUX MILKが人気で、文章もわかりやすいのでよく見ています。

メッセージ

メッセージの画像

UXデザイナーは人が好きであればのめり込める仕事だと思うので、興味のある方にはぜひ目指してほしいなと思います。

私もUXデザイナーになるまでの間、たくさんの人に応援されてきました。だから私も全力で応援したいですし、何かお役に立てれば嬉しいです。おすすめの本やWebサイトなどもお伝えできるので、この記事で興味を持たれた方は気軽に連絡くださいね。

いかがだったでしょうか?
今回は、のりこさんに「UXデザイナー」というお仕事について聞いてみました!
あなたの今日もtoiroな1日にしませんか?

ちょっと木陰で立ち話

ゆみ
本記事ライター
ゆみ

私が今ちょうどWebサイトのUIやUXを改善していく仕事に携わっていて、まさに読みたかった記事だ!と読者の気持ちで読み込んでしまいました。

Q. UXデザイナーの面白みややりがいとは?」にもあるように、とにかくユーザーの話を聞くのが好きだと語るのりこさん。その背景には常に「人を思いやる」姿勢をひしひしと感じました。そして、その「思いやり」が仕事に活きるのはUXデザイナーだけではないはず。業界や職種が違っても、たくさんの方に読んでいただきたい記事です。

ちなみに、きみはどう思う?なにか気づいたことあった?

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    YOU
    ゆみ
    本記事ライター
    ゆみ
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    書いてくれたんだね!さっすがー!!
    pigeon