複業が私の理想形。借金返済のため副業を始めたOLが語る、“やりたい”を両立する働き方

複業が私の理想形。借金返済のため副業を始めたOLが語る、“やりたい”を両立する働き方

フリーランスのストーリー

「フリーランスには憧れるけど、いきなり会社を辞めるのは不安…」
「フリーランスになったはいいものの、頼れる人が周りにおらず、会社や上司のありがたみに気づいた」

フリーランスは自由度が高いものの、やはり金銭的・精神的な不安はつきまとうもの。

今回お話を聞いためぬさんは、複業ワーカーとして会社での仕事と副業、どちらも両立させています。彼女はどうしてフリーランスではなく、複業の道を選んだのでしょうか?

一時は体調を崩し、借金にも見舞われた波乱万丈な彼女の人生をのぞいてみましょう。

複業ライター

めぬ

めぬさん

新卒でネット専門広告代理店に入社。Webデザイナー・プランナーとして経験を積み、現在は大手IT企業のマーケティング職。転職を機に個人事業主として、ライティング、デザイン、SNSマーケティング、キャリアカウンセリングなどを行なう複業ワーカーとして活動を開始。
地方出身で感じた生きづらさや、自身のうつ経験をもとに女性の明日が楽しくなるライフスタイル記事やコラム、インタビュー記事を発信中。ライターネーム「犬田メメ」で活動中。

自己紹介をお願いします!

複業ライターのめぬと言います。会社員をしながらWebデザインやライターなどさまざまなジャンルの仕事に携わっています。

現在のお仕事を具体的に教えて!

IT企業でのマーケティング職が本業です。副業では、Webデザイン、マーケティング、立ち上げたばかりの会社さんでの事業計画立案、SNS講師や女性キャリアのカウンセリングなど、幅広く活動しています。

今に至るまでの経歴は?

book めぬさんの略歴
22歳 新卒でベンチャーのネット広告代理店に入社、Webサービスの企画職に
26歳 転職で大手IT企業へ。主にビジネス開発に携わる
26歳 副業でWebデザインを始める
28歳 借金返済を機にライターの仕事にもチャレンジの幅を広げ“複業”ワーカーとして働き始める

では、めぬさんの今に至るストーリーをたどってみましょう!

このインタビューは
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新卒で広告代理店に入社〜退職に至るまで

フリーランス_複業ライター2

Q1. 新卒で入社した会社では
どんな仕事をしていたの?

熊本出身、熊本の大学での学びを経て、東京への憧れから都内のネット専門の広告代理店に就職。大学時代にプログラミングやWebデザインにふれたことがあることを買われ、会社が当時力を入れていたWebサービス立ち上げの部署へ配属されました。

はじめはプランナーとなり、その後ディレクター、デザイナーと職種を転々としました。

Q2. もともと副業には
どんなイメージがあった?

人の役に立てるひとつの手段として興味がありました。

実家が居酒屋を経営している自営業で。調理だけではなく、メニュー作りや仕入れに至るまで、店に関わることは全部自分たちでやる両親をそばで見てきました。

だから、小さい頃から“働く”とは専門分野にこだわらず、目の前のことに精一杯取り組むことだと思っていて。会社員になって、事務職の方は事務だけ、営業職は営業だけしかやらない環境を見て、カルチャーショックを受けたんですよね。

それで、任された仕事をやりながらも、ついつい「他部署の案件企画をやってみたい」「バナー制作で困っている部署を助けてあげたい」と思うように。部署や職種を越えて人の役に立ちたいという想いが強くあり、会社の垣根を超えた副業にも興味がありました。

Q3. 退職の決め手は?

同じ部署の人にも恵まれ、新卒入社から5年ほど勤めました。ただ、部署で取り組んでいた新規Webサービスは大成せず、売り上げが上がらなかったんです。営業の同期のように会社に貢献できていない自分が情けなく、徐々に自己肯定感が下がっていき…。

それに伴って体調も崩してしまい、退社を決めました。

心身のコンディション悪化が退職の決め手ではありますが、そのタイミングでふと自分のキャリアについて見直す機会もあって。

いまは会社の名前で仕事をしているけれど、“自分の名前”で仕事を受けたいと思い始めたんですよね。その想いも結果として退職の後押しになりました。

副業開始・転職準備期間

フリーランス_複業ライター3

Q4. 副業を始めようと
思ったきっかけは?

実は、キャリアを考えて計画的に副業を始めたわけではなく、きっかけは、大きな借金を抱えてしまったことでした。

会社に売り上げ貢献できていないことで徐々に自分で自分を責めてしまい、買い物依存症になってしまったんです。

ゲームの中で課金するような感覚で、高級な服や小物など、自分でパッと身につけられる武器があれば強くなれるのではないかと考え始め、徐々に買い物をする量が増え…。段ボールの開封が追いつかないくらい膨大な量の買い物をしていました。

その結果、会社を辞めて体調が回復したころには、借金が合計300万円ほどに。自分の生活を送りながら借金の返済を並行して行うには、転職をしたとしてもお金が足りないことに気づき、副業を始めざるをえなかったです(笑)。

Q5. はじめはどんな仕事を
どうやって獲得したの?

1社目の広告代理店にいたのは優秀なメンバーばかりで、退職後に独立して起業する先輩が多かったんです。会社でWebサイトや広告バナーのデザイン、Photoshopの操作ができるメンバーが私くらいしかいなかったこともあり、ありがたいことに先輩方の会社のWebサイトや名刺を制作するお仕事をいただくようになりました。

はじめはデザイナーとしてお声がけいただいたのですが、立ち上げたばかりの会社のため、できることがあれば何でも手伝って!とおっしゃっていただくことが多く。開業する店舗リストの洗い出しや提案資料作成など、秘書に近いような仕事もしていました。

そのなかで、サービスを世に出すためにSNSやサイトの文章を考える仕事があり、それがけっこう楽しかったんですよね。それがきっかけでライターを目指すようになりました。

Q6. どうしてWebデザイナーと
ライターを選んだの?

Webデザインは、1社目で身につけた技術ですぐにお仕事を始められました。ただ、好きでやっているというよりは、私がWebデザインに必要なスキルをたまたま持っていたからやっていた。そんなマインドで仕事に向き合っていた自分にとっては、到底敵わないと感じるデザイナーさんがたくさんいるなと感じていました。

それと比べてライターは、技術の差こそあれど 「その書き方が好き」のように個人の“クセ”ごと愛してもらえる仕事だと感じたんです。「このライターさん、商品への愛がすごい!」とパーソナルな部分を感じられるのがライティングのいいところだなと。

その頃は自分に自信がなかったけれど、ライターを続けていったら自分を少しずつ認められるんじゃないかなと思うようになりました。

もともと読者としてずっとファンだったメディアがありました。コンテンツは商品の広告なのですが、広告と感じさせない熱意がこもっているんです。作り手にも読み手にも寄り添ったPR記事なのがとても印象的で、ここでお仕事をしたいなと思うようになりました。

たまたまTwitterでそのメディアのライター募集を見かけ、ライティングテストを受けて無事合格。今では毎月5〜10本ほどのお仕事をいただいています。

2社目(現在の会社)へ。副業が複業へ

フリーランス_複業ライター4

Q7. 2社目(現在の会社)を
選んだ理由は?

1社目では、ベンチャー企業ということもあり、ある日部署がいきなり解体されてしまったり、携わったサービスが終了したりなど、会社の方針に振り回されてしまうことが多かったんです。

どうしてそんなふうになってしまったのか背景を知りたかったこともあり、事業の意思決定に関わる仕事をしたいと思うようになりました。

そのため、事業・ビジネス開発のポジションで今の会社に入社しました。

Q8. 2社目では具体的に
どんな仕事をしているの?

入社当時は「うちの会社はこの部分が弱いから、それを補ってくれる会社と組んでプロジェクトをやろう」というように、経営者視点を持って、外部の企業との提携を推し進める部署にいました。

現在はマーケティングの部署で働いています。前部署では、会社やサービスを立ち上げるところまででどうしても私の仕事は終わり、そこから事業を成長させるのは現場の皆さんに任せるという側面が強かったんです。

今度はサービスを大きくし、世の中に広めるところをやってみたい!という想いが強くなり、部署異動をしたんです。

Q9. 副業はどうやって
増やしていったの?

2社目に入った後も、借金返済のために副業は続けていました。ただ、1社目の先輩方からいただいていた仕事は、期待に応えられなかったり、事業フェーズが変わって必要とする人材が変化したりして、長続きしなかったんです。「まだ借金の返済が終わってないのにどうしよう!」と本当に焦りました。

はじめは営業をかけなくても舞い込んできた仕事が、どんどんなくなってしまって…。スキルを少し大きく見せ、クラウドワークスやWantedlyで仕事を獲得しましたが、自分のスキルと見合ってない仕事も多く、きつい時期だったと記憶しています。

当時はとにかくお金を稼ぐために内容を問わずできることに取り組んでいました。その結果、やりたいと思っているライティングの仕事よりも、スキル的に効率的に着手できるWebデザインの仕事のほうが圧倒的に多かったです。

なんとか数年かけて借金返済を完了し、そこからは本当にやりたいと思っていたライターをしようと思うようになりました。

Q10. 借金を返済したタイミングで、
副業をやめようとは思わなかった?

副業を始めるきっかけはお金でしたが、何年か続けたことで副業で身についたスキルを、今度は自分のために使えるタイミングがきたなと。

お金のための副業ではなく、自分が本業でチャレンジできないことを実現する手段にするために、複業ワーカーとして動き出しています。

Q11. “ 複業ワーカー”を選んで
どうだった?

副業というと、たんなるおこづかい稼ぎや、フリーランスになるための助走期間だと思われることが多いんです。でも私は、複業ワーカーとして働いている今の状態が1つの理想形だと思っています。

会社に所属することで、個人では味わえない大きい規模の案件を動かしたり、チームの一員であるという経験を得ています。一方、副業では、仕事に対してクライアントからダイレクトな反応が返ってきて、仕事の温かみや手触り感を感じられるというか。

自分の中で棲み分けをしたうえでどちらも自分の糧にしているので、新しくやりたいことが生まれるまでは複業という働き方がベストかなと思っています。

今とこれから

フリーランス_複業ライター5

Q12. 複業のよいところは?

毎月会社からお給料をいただいたうえで、好きなことに取り組める状態がすごく嬉しいです。安定した収入がないと不安になってしまうので、フリーランスは憧れるけど自分には向いてないなと。

最近は、「こんなことに取り組みたいので、ご依頼お待ちしています!」と恥を忍んでお仕事募集をnoteで公開したりしています。

本来はこんなに大胆な行動を取れる性格ではないのですが、生活の土台となる月給があることで、チャレンジの後押しになっているんです。

また、会社員の肩書きは、副業のクライアントからの信頼にも繋がることも多く、よかったなと思うポイントの1つです。

Q13. 複業の大変なことは?

ずばり、タイムマネジメントです。平日は会社員をやっているので、副業は平日の夜や土日に時間をとる必要があります。会社で残業続きのときに締め切りがかぶることもよくあって、大変だと感じます。

平日の日中に副業が入れられないと、仕事の種類も限られてきます。

私はインタビューライターに力を入れたいのですが、インタビューライターの募集要件を見ると、平日の昼間に取材先に行ける人の募集がほとんどで。会社員として働きながら副業として希望するには応募ハードルが高い仕事だなと思います。

やりたいことと、会社員とのバランスが難しいといつも感じますね。

Q14. 今後何をしていきたい?
どうなっていきたい?

今まで色々な仕事をしてきて、Webデザインやライティング、会社で培ってきたスキルなど、できることの幅は少しずつ広がってきていると感じます。それを複合させて、1つの仕事に集約できるといいなと思っていて。

例えば、ブランディングはそういう仕事だなと。会社の事業計画を理解し、インタビュー取材で強みを引き出して、ライティングで表現しながらデザインも監修する、といったように、自分のスキルを総動員した働き方を模索したいと思っています。

目指す人へのメッセージ

メッセージの画像

現状の働き方にもやもやしてるけど、何をどう始めていいかわからないこともあると思います。そういうときに私が大切にしている考え方があって。

誰しも「1度はここで働いてみたい」と思う場所ってあると思うんです。例えばディズニーとか、大好きなアーティストの所属事務所とか。

進路に悩む方や、何をすればいいのかわからない方には、そういう憧れの企業の求人情報を見てみるのがおすすめです。現実的な職場ではなく、夢のまた夢のような企業の。

求人票には、例えば「ライター歴5年」や「TOEIC900点以上」など、その企業が求める人材が明確に書いてありますよね。そうすると、逆算して今何をすべきかが見えてくるんです。

「夢って思っているだけじゃ無理で、こういう経験を積まないとだめなんだな」と自分の今の立ち位置を見つめる機会になり、未来に向かって一歩踏み出しやすくなりますよ!

いかがだったでしょうか?

以上、めぬさんの生き方・働き方のストーリーでした!
あなたの人生が一歩でも前に進むような、お役に立てる記事になりますように。

ちょっと木陰で立ち話

ゆみ
本記事ライター
ゆみ

私も会社で週5日働きながら副業もしているので、めぬさんの言葉がとっても心に響きました。「Q. “ 複業ワーカー”を選んでどうだった?」で語っていた「複業の状態が理想」という言葉は、まさにいま仕事のバランスで悩む私が欲しかった言葉。

どの仕事もいいところがあるから続けているんだということを再認識できました。

会社に頼らないフリーランスが合う人もいれば、安定した収入があるうえで本領発揮できる人もいる。めぬさんは、皆さんが選択肢を広く持つための1つのロールモデルになってくれるんじゃないかなと思います。

ちなみに、きみはどう思う?なにか気づいたことあった?

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    YOU
    ゆみ
    本記事ライター
    ゆみ
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    書いてくれたんだね!さっすがー!!
    pigeon