「終電で帰宅する生活はクリエイティブなのか?」毎日終電帰りだった企業デザイナーがフリーランスになるまで

「終電で帰宅する生活はクリエイティブなのか?」毎日終電帰りだった企業デザイナーがフリーランスになるまで

フリーランスのストーリー

今注目を集めている「フリーランス」という働き方。

一見キラキラとしたワークスタイルにも見えますが、その裏側には辛いことや泥臭い努力が多く隠されています。

そして、フリーランスに興味がある人にとっては、「具体的に何をしたらフリーランスになれるのか?」というのが一番知りたいところ。

今回お話を聞いたのは、制作会社を経てフリーランスデザイナーとなったもちさん。

入社後4年目で「会社から時間に拘束されたままの生活でいいのか?」と疑問を持ったもちさんは、どのようにして今のライフスタイルを手に入れたのでしょうか。

グラフィックデザイナー

もち

もちさん

多摩美術大学を卒業後、広告制作会社で経験を積み2017年に独立。ロゴやポスターのメインビジュアル、パッケージなどの紙もの中心のグラフィックデザインを専門とし、初期ブランディングから最終アウトプットまで手がける。旅をしながら仕事をしていて、訪れた国は33カ国。フットワークは軽く、全国の良いものをインプットし伝える風の人。趣味は仕事のできる居心地の良いカフェ探し。
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フリーランスになる前

フリーランス_グラフィックデザイナー2

Q1. フリーランスになる前は
どんな仕事をしていたの?

大学卒業後の4年間、広告代理店からの仕事を請け負う制作会社でデザイナーとして働いていました。仕事内容は、CM連動で駅をポスターでジャックするようなものや、モデルさんを起用した化粧品の広告など、規模の大きいものがメインでした。

代理店側のADさんの思い描くものを形にする制作会社のアートディレクターとして、後輩を率いてプロジェクトを進めていく「アウトプットをする人」でしたね。

Q2. どうしてフリーランスに
興味を持ったの?

もともとフリーランスになろうとは思っていなかったのですが、当時働いていた制作会社が正直ブラックで…(笑)。

当時は会社から帰る理由が「定時」ではなく「終電」だったんです。そんな仕事を続けるうちに、「終電で帰宅する生活はデザイナーとしてクリエイティブなのか?」と疑問を持ち始めました。仕事自体は好きでしたがこのまま30歳、40歳になるのが現実的とは思えず、前に進む目標を持ったうえで退職しました。

退職後は3ヶ月留学、3ヶ月放浪の海外生活を経て転職をする予定でしたが、先輩から広告デザインのプロジェクトに誘われたことをきっかけに、フリーランスで仕事をしていくことになりました。

フリーランスになるために

フリーランス_グラフィックデザイナー3

Q3. どうしてグラフィックデザイナー
になろうと決めたの?

美術大学出身のため、大学時代からデザイナーになることを決めていました。そのため、逆にデザインしかできません!(笑)。

デザインは、自分で考えたことを表現することで、誰かの心を動かせるのが面白いです。グラフィックデザイナーのやりがいは、同じ仕事がひとつとしてないこと。要望やクライアントが案件ごとに違うため、毎回新たな気持ちで取り組めます。アウトプットとして目に見える成果物があることで、友人から「デザイン見たよ!」と言われるのも嬉しいです。

Q4. フリーランスになるために
はじめたことは?

会社員時代から週末に旅をするのが好きだったので、行く先々で「デザイナーです」と名乗ることを積極的に行っていました。この種まきが現在の仕事に繋がっています。

種まきの際は「デザイナーをしています」と言うだけではなく、スマートフォンにPDFのポートフォリオを入れて実際に作品を見せていました。グラフィックデザイナーは「コミュニケーション能力」より「どんな作品を作るのか」が仕事獲得の第一歩になるため、ポートフォリオは大事ですね!

フリーランスになってみて

Q5. はじめはどうやって
仕事を獲得していたの?

99%友人のツテで仕事をもらっていました! ショッピングセンターの季節ビジュアルやパッケージのデザイン、ロゴ制作、そして壁に絵を描くという仕事もありました(笑)。

制作会社在籍時から、先輩が仕事をくれると約束してくださっていたため、はじめからあまり心配はなかったです。

会社員のころに種まきをしていたおかげで、現在も友人や知り合いから仕事をもらうことがほとんどです。人伝いで仕事をもらうのは、フリーランス全体に共通していることだと思います。

Q6. フリーランスになってみて
良かったことは?

自分で時間をスケジューリングできることです。会社員の場合、朝9時には出社して、定時には帰らなければなりません。一方でフリーランスは自分の責任のもと、昼間は友人とご飯を食べたり、夜は仕事したりと、時間の使い方をコントロールできます。たとえば、病院などは日曜日は空いていませんが、フリーランスなら調整して平日に行けるので助かっています。

また、各々に仕事が効率よく分配されている会社のありがたさを知りました。会社は仕事が上から勝手に降ってきたり、給料が安定していたりと、何かと保障されています。一方で、フリーランスは来月の給料もわからず、稼げる月もあればゼロのときもあります。良くも悪くも「株式会社自分」です。

でも、フリーランスだからこそ、得意分野だけやって、苦手分野は他のフリーランスに任せるというような働き方もできます。

会社員当時は愚痴を言うこともありましたが、それは会社から守られているがゆえだったのだな、と。もし、今会社に戻ったらフリーランス視点で全体を見て交渉ができるため、愚痴も減ってストレスフリーに働けるかもしれませんね(笑)。

Q7. フリーランスになってから
大変だったことは?

フリーランスになって大変だったことは現状ありません!(笑)。

独立当初は1ヶ月目のお金がないことと、3ヶ月後の仕事が確定していないことで不安でした。デザインの案件は制作期間が長いので、初期は貯金がないと苦しいです。お金がないのに納税がくるし、節約のために自ずと外に出る機会も減るので心が狭くなります。

私は実家暮らしだったのでそこまで困りませんでしたが、1人暮らしの方は初期投資がないと大変だと思います。現在は、いざとなったら会社員に戻ればいいと思っているため、あまり不安ではありません! フリーランスも会社員も、どちらでも楽しめると思います。

フリーランスになった今

フリーランス_グラフィックデザイナー5

Q8. 現在の具体的な
仕事内容は?

もともと旅が好きなので旅をしながら仕事をしています。国内だったり国外だったり。今はジョージアにいますよ!

最近では、イベントのビジュアルデザインや、ゲストハウスのロゴを制作しました。イラストを含んだグラフィックデザインや全体的なブランディングを担当することもあります。

Q9. 仕事がある1日の
スケジュールはどんな感じ?

book 1日のスケジュール
7:00 起床
8:00 デザイン仕事or書類整理
11:00 ランチ
12:00 デザインの仕事
15:00 趣味or街お散歩
19:00 ご飯
21:00 お風呂など寝るための準備
23:00 ベットに入りながらSNS確認&寝落ち

最近は1日6時間くらいしか仕事をしてないですね(笑)。もともとは14時間仕事をしていたので、昔に比べると減ったなと思います。時差の関係で15時が日本の21時なので、そこまでに仕事をぎゅっと詰めています。おやつ時間からフリーになるので、時差がある国で働くのも面白いですよ!

クライアント業務は基本的に土日休みです。平日に遊ぶとしわ寄せがくるため、時間管理が大変なこともありますね。

Q10. 今後フリーランスとして
何をしていきたい?

今のところ会社に入るビジョンはなく、フリーランスとして活動しようと思っています。今後はライターやフォトグラファーなど、さまざまな人を巻き込んだ規模の大きいことがしたいです。最近旅好きフリーランスのコミュニティ(@world)を作ったため、みんなで一緒に仕事をしていきたいですね。

私の人生の目標である「楽しむこと」を忘れずに生きていきたいです!

目指す人へのメッセージ

メッセージの画像

フリーランスに向いてる人とそうでない人がいます。会社員が苦しいと感じたら、勇気を持って辞めてもいいと思います。死ぬわけじゃないので(笑)。

会社員を辞めてみて、フリーランスとしてお金をもらうとまた違った感動があるし、逆に会社員のほうがラクなこともあるかもしれません。フリーランスになって何がしたいのか、ワクワク感を持ってトライしてみてください!

いかがだったでしょうか?
以上、グラフィックデザイナーのもちさんの生き方・働き方のストーリーでした!
あなたの今日もtoiroな1日にしませんか?