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フリーランスになる前
Q1. 大学時代から会社員になるまで、
どのようなことをしていたの?
大学生のときは、教育学部で美術の先生になるために勉強していて、専門的なデザインは学んでいませんでした。
大学卒業後は2年間、中学校の美術教師をして、そのあとデザイナーになるために転職。1年半いた最初の会社ではWebデザインの基礎を学び、2社目で事業会社でデザインを作るインハウスデザイナーとして5年間働いていました。
Q2. 会社員時代に苦労したことは?
2社目ではデザイナーの先輩がおらず、わからないことが聞けない環境で…。
もともとWebデザイナーとして採用されましたが、入社後は「まだ終わっていない紙面デザインがあるから、あとは全部よろしく」と1週間の引き継ぎだけでした。
右も左もわからないなりに、独学で調べて死ぬ気でやりきりました。
エディトリアルデザインやパッケージデザイン、グラフィックデザインなど、何でも屋さんのように幅広く行なっていましたね。
Q3. そんな環境は苦しくなかった?
苦しさよりは「すごい無茶振りな仕事がきたー!面白い!」という感じでした(笑)。みんなが泥臭く、まっすぐに仕事をするベンチャー企業だったので、会社全体が「大変だけれど面白い」と思える雰囲気だった気がします。
調べたり勉強したり、失敗もして大変でしたが、さまざまな経験を積めたことは結果として良かったです。
フリーランスになっていく過程
Q4. どうしてフリーランスに
なろうと思ったの?
最初からフリーランスを望んでいたわけではなくて、結果的にフリーランスになっていました。
会社員5年目のとき、ある“きっかけ”があったんです。ちょうど仕事のことで悩んでいた時期に軽い病気が見つかって手術をすることになり、何も決めずに会社を辞めました。
辞めたあとに手術をして元気になり、しばらくのんびりしようと思っていて。そんな折に、前職の会社から「パートナーとして、リーフレットのデザインを手伝ってほしい」と声をかけていただきました。
そこから少しずついろんな会社から仕事を受けるようになって、気づいたらフリーランスになっていたんです。
Q5. 何も考えずに会社を辞めて、
不安はなかったの?
1人で暮らしていけないと思ったら、実家に帰ればいいか、くらいに思っていました。
会社員などの形態にはこだわらず「興味があることをやってみよう!」と、教えるのが好きだったこともあって、絵画教室のアルバイトの面接を受けるなど、のんびり過ごしていました。楽観的に考えていたので、とくに不安はなかったです。
フリーランスになってみて
Q6. どうやって仕事が
増えていったの?
前職の同僚や知り合いのデザイナーからの紹介で仕事をいただきました。
1年目は体を休めたかったので、フリーランスになったことを積極的には言わずに、話す機会があったら伝えるだけでした。コンスタントに仕事をいただけるようになった2年目以降は、本当にご縁のおかげです。
Q7. 仕事を増やしていくうえで、
信頼してもらうコツはある?
相手を不安にさせないことを意識しています。報連相など当たり前のことを続けるのが信頼につながるのかなと思いますね。
たとえば、必ず締め切りを守ること。締切日より前に提出するのはもちろん、どうしても間に合わなさそうなときは早めに連絡をするなど、相手の気持ちを考えた連絡を心掛けています。
他に意識しているのはフランクなコミュニケーションです。早い段階から関係値を築くことで、クライアントさんの本当にやりたいことがわかるし、提案が通りやすくなると感じます。
もちろんメールで「拝啓○○さま」や「お世話になっております」から始まる丁寧なやりとりもありますが、ラフなコミュニケーションが取れるようになるべくSlackなどを有効活用しています。
Q8. 仕事を選ぶときに
意識していたことは?
さまざまなお仕事をするなかで、得意不得意を見極めて、好きだなと思えるデザインの仕事を周囲に伝えるようにしていました。苦手だと感じるデザインの仕事は戦略的に断りましたね。
好きなのは、トーン&マナーなども決まっておらずイチからデザインできるお仕事。苦手だと感じるのは、カチッとルールやベースが決まっているなかで展開させていくデザインです。
徐々に自分の“好き”を追求したことで、今では本当にやりたいお仕事ができるようになったと感じます。
今とこれから
Q9. フリーランスになってみて
よかったことは?
100個ぐらいありますが(笑)、生き方も働き方も数ある選択肢から自分で選べるようになったことです。
フリーランスは自分でお金の管理や交渉もしないといけませんが、その苦労が性にあっていました。苦労があるぶん自由にできるのが良いなと思います。たとえば、好きな場所で好きな人たちと仕事ができるワーケーション。
自由に働けるだけではなくて、多くの人に会うことで新しい価値感を得られます。その小さなインプットの積み重ねが、徐々に仕事での表現や生き方に反映されるように感じます。
また、フリーランスは自己決定することが多いので、内省的な思考になっていくと思うんですよね。以前よりも客観的に自分を見つめ直すのが当たり前になって、自分がどうなりたいか描きやすくなりました。それこそ「“人生の主導権”を握っている」と感じる瞬間もありますね。
Q10. フリーランスになってから
大変なことは?
見積もりを作るのがとにかく苦手でした。
フリーランス1年目は相場がわからず安く仕事を受けてしまい、働けども生活がラクにならない時期がありました。
はじめはインターネットの情報を頼りに時給換算をしていました。でもスキルが上がるほど作業時間が減り、単価が下がってしまうのは変だと思うようになったんです。
だから作った見積りに対するクライアントさんの反応を見て、試行錯誤をしながら単価を調整していきました。
今でも考えるのは難しいです(笑)。
Q11. 今後何をしていきたい?
どうなっていきたい?
少しずつ「表現のある仕事」を増やしていけたらいいな。クライアントさんが私の作風を見て描いてほしいと思い、依頼される仕事はすごく楽しいと思います。
もともと絵本や児童書が好きなので、挿絵や表紙の絵を描くことに憧れがあるんです。イラストの仕事は、求められている表現に合う絵を描くことがほとんど。そうではなくて、いつか自分の色を表現できる仕事が増えていくといいなと思っています。
目指す人へのメッセージ
オススメしたいのが、モヤモヤに向き合うことです。私自身、フリーランスになってからもやもやを直視することが増えて、向き合うのは大変だけれど、確実に自分の人生にプラスになっていると感じています。
モヤモヤしきった先に「これしかない!」と新しい発見をする瞬間があると思います。どん底に落ちて苦しくなることもあるけれど、直視するのも1つの手です。「本当に嫌なんだなあ」と気づくことも、自分を知ることになると思いますよ!
いかがだったでしょうか?
以上、aoiさんの生き方・働き方のストーリーでした!
あなたの人生が一歩でも前に進むような、お役に立てる記事になりますように。